インテル® C++ コンパイラー XE 13.1 ユーザー・リファレンス・ガイド

OpenMP* ライブラリーの使用

このセクションでは、コマンドラインで OpenMP* ライブラリーを設定して使用するのに必要なステップを説明します。Windows* システムでは、Microsoft* Visual Studio* 開発環境で OpenMP* ライブラリーを使用してコンパイルされたアプリケーションをビルドすることもできます。

インテル® コンパイラーで提供されているライブラリーのサポートについては、「OpenMP* ソース互換とその他のコンパイラーとの相互運用性」を参照してください。

OpenMP* ライブラリーにより使用されるオプションとライブラリーのリストは、「OpenMP* のサポート・ライブラリー」を参照してください。

インテル® コンパイラーへのアクセスを確立するために環境を設定し、リンクで適切な OpenMP* ライブラリーが利用できるようにします。Windows* システムでは、適切なバッチ (.bat) ファイルを実行するか、またはすでに環境設定されているコマンドライン・ウィンドウ (コンパイラーのプログラムメニューから起動可能) を使用します。Linux* および OS X* システムでは、適切なスクリプトファイルをソース (読み込み) します (iccvars ファイル)。

コンパイルで、コンパイル時に使用される omp.h のバージョンがそのコンパイラーにより提供されているバージョンであることを確認します。 例えば、Linux* システムの場合、GNU C/C++ コンパイラーでのコンパイル時に、GNU C/C++ コンパイラーが提供している omp.h を使用します。

警告

GNU*/Microsoft* コンパイラーの使用時は、不適切なヘッダー/モジュールファイルを誤って使用することがあるので注意してください。これを避けるには、別のディレクトリーにヘッダー/モジュールファイルをコピーし、-I オプションを使用して、正しい include パスを指定します。

プログラムでデータ構造やクラスが使用されており、それらが omp.h ファイルで定義されるデータ型を持つメンバーを含む場合、そのようなデータ構造を使用するソースファイルはすべて同じ omp.h ファイルでコンパイルする必要があります。

次の表は、C および C++ ソースファイルに使用するコンパイラーのコマンドをリストしています。

オペレーティング・システム

C ソースモジュール

C++ ソースモジュール

Linux*

GNU*: gcc
インテル: icc

GNU*: g++
インテル: icpc

OS X*

GNU*: gcc
インテル: icc

GNU*: g++
インテル: icpc

Windows*

Visual C++*: cl
インテル: icl

Visual C++*: cl
インテル: icl

インテル® コンパイラーで使用される OpenMP* ライブラリーとオプションについての情報は、「OpenMP* サポート・ライブラリー」を参照してください。

Visual Studio* でのインテルの OpenMP* ライブラリーの使用

Windows* システムで、Visual Studio* の Visual C++* 開発環境を一部変更すると、インテル® C++ コンパイラーと Visual C++* を使用して、インテルの OpenMP* ライブラリーを使用するアプリケーションを作成することができます。

Microsoft* Visual C++* では、_OPENMP_NOFORCE_MANIFEST シンボルが定義されていなければなりません。定義されていない場合は、vcomp90 dll のマニフェストがインクルードされます。 これにより、ビルドシステムでは問題ありませんが、この DLL がインストールされていない別のシステムにアプリケーションを移動すると問題が発生します。

プロジェクトの [プロパティ ページ] でインテルの OpenMP* ランタイム・ライブラリーの場所を示します。

  1. メインメニューでプロジェクトのプロパティー・ページを開きます ([Project (プロジェクト)] > [Properties (プロパティ)] を選択するか、プロジェクト名を右クリックして [Properties (プロパティ)] を選択します)。

  2. [Configuration Properties (構成プロパティ)] > [Linker (リンカ)] > [General (全般)] > [Additional Library Directories (追加のライブラリディレクトリ)] を選択します。

  3. インテル® コンパイラー・ライブラリーへのパスを入力します。例えば、IA-32 アーキテクチャー・システムの場合は、次のように入力します:

    <Intel_compiler_installation_path>\IA32\LIB

インテルの OpenMP* ダイナミック・ランタイム・ライブラリーを実行時にアクセス可能にするには、対応するパスを指定しなければなりません。

  1. メインメニューでプロジェクトのプロパティー・ページを開きます ([Project (プロジェクト)] > [Properties (プロパティ)] を選択するか、プロジェクト名を右クリックして [Properties (プロパティ)] を選択します)。

  2. [Configuration Properties (構成プロパティ)] > [Debugging (デバッグ)] > [Environment (環境)] を選択します。

  3. インテル® コンパイラー・ライブラリーへのパスを入力します。例えば、IA-32 アーキテクチャー・システムの場合は、次のように入力します:

    PATH=%PATH%;<Intel_compiler_installation_path>\IA32\Bin

インテルの OpenMP* ランタイム・ライブラリー名をリンカーオプションに追加し、デフォルトの Microsoft* の OpenMP* ランタイム・ライブラリーを除外します。

  1. メインメニューでプロジェクトのプロパティー・ページを開きます ([Project (プロジェクト)] > [Properties (プロパティ)] を選択するか、プロジェクト名を右クリックして [Properties (プロパティ)] を選択します)。

  2. [Configuration Properties (構成プロパティ)] > [Linker (リンカ)] > [Command Line (コマンドライン)] > [Additional Options (追加のオプション)] を選択します。

  3. OpenMP* ライブラリー名と Visual C++* リンカーオプション /nodefaultlib を入力します。

コマンドライン例: Linux* および OS X*

インテルの OpenMP* ライブラリーを使用して、1 つのコマンドでアプリケーション全体をコンパイルおよびリンク (ビルド) するには、次のインテル® コンパイラー・コマンドを指定します。

ファイルの種類

コマンド

C ソース

icc -openmp hello.c

C++ ソース

icpc -openmp hello.cpp

デフォルトでは、インテル® コンパイラーは OpenMP* ライブラリーのダイナミック・リンクを行います。スタティック・リンク (非推奨) を行うには、-openmp-link static オプションを追加します。 インテル® コンパイラー・オプションの -openmp-link は、Linux* および OS X* システムでリンカーが使用する OpenMP* ライブラリー (スタティックまたはダイナミック) を制御します (デフォルトは -openmp-link dynamic)。

また、インテル® C++ コンパイラー (icc/icpc) と GNU コンパイラー (gcc/g++) の両方を使用して、アプリケーションの一部をコンパイルし、オブジェクト・ファイルを作成することができます (オブジェクト・レベルの相互運用性)。 この例では、GNU* コンパイラーは、C ファイルの foo.c (gcc オプション -fopenmp で OpenMP* サポートは有効) をコンパイルし、インテル® コンパイラーは、インテルの OpenMP* ライブラリーを使用してアプリケーションをリンクしています。

ファイルの種類

コマンド

C ソース

gcc -fopenmp -c foo.c

icc -openmp foo.o

C++ ソース

g++ -fopenmp -c foo.cpp

icpc -openmp foo.o

インテル® コンパイラーの OpenMP* 互換ライブラリーを使用して、GNU* gcc または g++ コンパイラーでアプリケーションをリンクする場合は、-l オプションでインテルの OpenMP* ライブラリー名、-l オプションで Linux* pthread ライブラリー、-L オプションでインテル® C++ コンパイラーがインストールされている場所にあるインテルのライブラリーへのパスを明示的に渡す必要があります。

ファイルの種類

コマンド

C ソース

gcc -fopenmp -c foo.c bar.c

gcc foo.o bar.o -liomp5 -lpthread -L<icc_dir>/lib

オブジェクト・ファイルを混在させることもできますが、gcc -l オプション、-L オプション、-lpthread オプションを指定しなくても済むように、インテル® コンパイラーでアプリケーションをリンクするほうが簡単です。

ファイルの種類

コマンド

C ソース

gcc -fopenmp -c foo.c

icc -openmp -c bar.c

icc -openmp foo.o bar.o

GNU* gcc コンパイラー、インテル® C++ コンパイラー、インテル® Fortran コンパイラーでコンパイルされた OpenMP* オブジェクト・ファイルを混在させることができます。

インテル® Fortran コンパイラーと gfortran コンパイラーでコンパイルされたオブジェクト・ファイルは混在させることはできません。

次の表は、インテル® Fortran コンパイラーまたは GNU* Fortran を使用して、すべてのオブジェクトをリンクする例を示しています。

ファイルの種類

コマンド

C ソースと Fortran ソースの混在

ifort -openmp -c foo.f

icc -openmp -c ibar.c

gcc -fopenmp -c gbar.c

ifort -openmp foo.o ibar.o gbar.o

ファイルの種類

コマンド

C ソースと GNU Fortran ソースの混在

gfortran -fopenmp -c foo.f

icc -openmp -c ibar.c

gcc -fopenmp -c gbar.c

gfortran foo.o ibar.o gbar.o -lirc -liomp5 -lpthread -lc -L<icc_dir>/lib

また、インテル® コンパイラーを使用してアプリケーションをリンクするこができますが、-l オプションを使用して、リンク行で複数の gfortran ライブラリーを渡す必要があります。

ファイルの種類

コマンド

C ソースと Fortran ソースの混在

gfortran -fopenmp -c foo.f

icc -openmp -c ibar.c

icc -openmp foo.o bar.o -lgfortranbegin -lgfortran


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