インテル® Fortran コンパイラー 14.0 ユーザー・リファレンス・ガイド

OpenMP* ライブラリーの使用

このセクションでは、コマンドラインで OpenMP* ライブラリーを設定して使用するのに必要なステップを説明します。Windows* システムでは、Microsoft* Visual Studio* 開発環境で OpenMP* ライブラリーを使用してコンパイルされたアプリケーションをビルドすることもできます。

インテル® コンパイラーで提供されているライブラリーのサポートについては、「OpenMP* ソース互換とその他のコンパイラーとの相互運用性」を参照してください。

OpenMP* ライブラリーにより使用されるオプションとライブラリーのリストは、「OpenMP* のサポート・ライブラリー」を参照してください。

インテル® コンパイラーへのアクセスを確立するために環境を設定し、リンクで適切な OpenMP* ライブラリーが利用できるようにします。Windows* システムでは、適切なバッチ (.bat) ファイルを実行するか、またはすでに環境設定されているコマンドライン・ウィンドウ (コンパイラーのプログラムメニューから起動可能) を使用します。Linux* および OS X* システムでは、適切なスクリプトファイルをソース (読み込み) します (ifortvars ファイル)。

gfortran コンパイラーを、OpenMP* API 関数を含むインテルの OpenMP* ライブラリーとともに使用するには、次の操作を行います。

  1. use omp_lib 文を使用して omp_lib.f90 ソースファイルをコンパイルします。このファイルはインテル® コンパイラーの include ディレクトリーにあります。

  2. 生成されたモジュールファイルへの適切なパスとともに、コマンドラインで –I オプションを追加します。

コンパイルで、コンパイル時に使用される omp_lib.h または omp_lib.mod のバージョンがコンパイラーで提供されているバージョンであることを確認します。

警告

gcc コンパイラーまたは Microsoft* コンパイラーの使用時は、不適切なヘッダー/モジュールファイルを誤って使用することがあるので注意してください。これを避けるには、別のディレクトリーにヘッダー/モジュールファイルをコピーし、-I オプションを使用して、正しい include パスを指定します。

プログラムでデータ構造やクラスが使用されており、それらが omp_lib.h ファイルで定義されるデータ型を持つメンバーを含む場合、そのようなデータ構造を使用するソースファイルはすべて同じ omp_lib.h ファイルでコンパイルする必要があります。

インテル® Visual Fortran コンパイラーのコマンドは ifort です。

インテル® コンパイラーで使用される OpenMP* ライブラリーとオプションについての情報は、「OpenMP* サポート・ライブラリー」を参照してください。

コマンドライン例: Windows*

互換ライブラリーを使用して、1 つのコマンドでアプリケーション全体をコンパイルおよびリンク (ビルド) するには、次のインテル® コンパイラー・コマンドを指定します。

ファイルの種類

コマンド

Fortran ソース、ダイナミック・リンク

ifort /MD /Qopenmp hello.f90

Microsoft* Visual C++* コンパイラーを使用する場合は、インテルの OpenMP* 互換ライブラリーとリンクします。Microsoft* OpenMP* ランタイム・ライブラリー (vcomp) にリンクされないように、リンカーオプションを使用して (/link の後で)、インテルの OpenMP* 互換ライブラリー名を明示的に渡す必要があります。

ファイルの種類

コマンド

C ソース、ダイナミック・リンク

cl /MD /openmp hello.c /link /nodefaultlib:vcomp libiomp5md.lib

また、インテル® Fortran コンパイラーと Visual C++* コンパイラーの両方を使用して、アプリケーションの一部をコンパイルし、オブジェクト・ファイルを作成することができます (オブジェクト・レベルの相互運用性)。 この例では、インテル® コンパイラーはアプリケーション全体をコンパイルしてリンクします。

ファイルの種類

コマンド

C ソースと Fortran ソースの混在、ダイナミック・リンク

cl /MD /openmp /c f1.c f2.c

ifort /MD /Qopenmp /c f3.f f4.f

ifort /MD /Qopenmp f1.obj f2.obj f3.obj f4.obj /Feapp /link /nodefaultlib:vcomp

最初のコマンドは、Visual C++* コンパイラーでコンパイルされた 2 つのオブジェクト・ファイルを生成します。2 番目のコマンドはインテル® Fortran コンパイラーによってコンパイルされたさらに 2 つのオブジェクト・ファイルを生成します。 最後のコマンドは 4 つのオブジェクト・ファイルをアプリケーションにリンクします。

また、下記の 3 行目は、Visual C++* リンカーを使用してアプリケーションをリンクし、互換ライブラリーの libiomp5md.lib を 3 番目のコマンドの終わりに指定しています。

ファイルの種類

コマンド

C ソースと Fortran ソースの混在、ダイナミック・リンク

cl /MD /openmp /c f1.c f2.c

ifort /MD /Qopenmp /c f3.f f4.f

link f1.obj f2.obj f3.obj f4.obj /out:app.exe /nodefaultlib:vcomp libiomp5md.lib

次の例は、インテル® コンパイラーで複数のファイルのプロシージャー間の最適化を使用し、Visual C++* コンパイラーで複数のファイルをコンパイルし、Visual C++* リンカーでオブジェクト・ファイルをリンクして、実行ファイルを作成する例を示しています。

ファイルの種類

コマンド

C ソースと Fortran ソースの混在、ダイナミック・リンク

ifort /MD /Qopenmp /O3 /Qipo /Qipo-c f1.f f2.f f3.f

cl /MD /openmp /O2 /c f4.c f5.c

cl /MD /openmp /O2 ipo_out.obj f4.obj f5.obj /Feapp /link /nodefaultlib:vcomp libiomp5md.lib

最初のコマンドは、インテル® Fortran コンパイラーを使用して、デフォルトで、ipo_out.obj という名前の最適化された複数ファイル情報を持つ単一のオブジェクト・ファイルを生成します (/Fe オプションは必要ありません)。 2 番目のコマンドは、Visual C++ コンパイラーを使用してさらに 2 つのオブジェクト・ファイルを生成します。3 番目のコマンドは、インテル® コンパイラーの OpenMP* ライブラリーを使用して、Visual C++* の cl コマンドで 3 つすべてのオブジェクト・ファイルをリンクします。

コマンドライン例: Linux* および OS X*

インテルの OpenMP* ライブラリーを使用して、1 つのコマンドでアプリケーション全体をコンパイルおよびリンク (ビルド) するには、次のインテル® コンパイラー・コマンドを指定します。

ファイルの種類

コマンド

Fortran ソース

ifort -openmp hello.f90

デフォルトでは、インテル® コンパイラーは OpenMP* ライブラリーのダイナミック・リンクを行います。スタティック・リンク (非推奨) を行うには、-openmp-link static オプションを追加します。 インテル® コンパイラー・オプションの -openmp-link は、Linux* および OS X* システムでリンカーが使用する OpenMP* ライブラリー (スタティックまたはダイナミック) を制御します (デフォルトは -openmp-link dynamic)。

また、インテル® C++ コンパイラー (icc/icpc) と gcc/g++ コンパイラーの両方を使用して、アプリケーションの一部をコンパイルし、オブジェクト・ファイルを作成することができます (オブジェクト・レベルの相互運用性)。 この例では、gcc コンパイラーは、C ファイルの foo.c (gcc オプション -fopenmp で OpenMP* サポートは有効) をコンパイルし、インテル® コンパイラーは、インテルの OpenMP* ライブラリーを使用してアプリケーションをリンクしています。

ファイルの種類

コマンド

C ソース

gcc -fopenmp -c foo.c

icc -openmp foo.o

C++ ソース

g++ -fopenmp -c foo.cpp

icpc -openmp foo.o

インテル® コンパイラーの OpenMP* 互換ライブラリーを使用して、gcc または g++ コンパイラーでアプリケーションをリンクする場合は、-l オプションでインテルの OpenMP* ライブラリー名、-l オプションで Linux* pthread ライブラリー、-L オプションでインテル® C++ コンパイラーがインストールされている場所にあるインテルのライブラリーへのパスを明示的に渡す必要があります。

ファイルの種類

コマンド

C ソース

gcc -fopenmp -c foo.c bar.c

gcc foo.o bar.o -liomp5 -lpthread -L<icc_dir>/lib

オブジェクト・ファイルを混在させることもできますが、gcc -l オプション、-L オプション、-lpthread オプションを指定しなくても済むように、インテル® コンパイラーでアプリケーションをリンクするほうが簡単です。

ファイルの種類

コマンド

C ソース

gcc -fopenmp -c foo.c

icc -openmp -c bar.c

icc -openmp foo.o bar.o

gcc コンパイラー、インテル® C++ コンパイラー、インテル® Fortran コンパイラーでコンパイルされた OpenMP* オブジェクト・ファイルを混在させることができます。

インテル® Fortran コンパイラーと gfortran コンパイラーでコンパイルされたオブジェクト・ファイルは混在させることはできません。

次の表は、インテル® Fortran コンパイラーまたは GNU* Fortran を使用して、すべてのオブジェクトをリンクする例を示しています。

ファイルの種類

コマンド

C ソースと Fortran ソースの混在

ifort -openmp -c foo.f

icc -openmp -c ibar.c

gcc -fopenmp -c gbar.c

ifort -openmp foo.o ibar.o gbar.o

インテル® Fortran コンパイラーを使用する際、インテル® Fortran コンパイラー (ifort) でコンパイルされたメインプログラムが Fortran オブジェクト・ファイルにない場合は、リンク時に -nofor-main オプションを ifort コマンドラインに指定します。

GNU Fortran コンパイラー (gfortran) でインテル® Fortran コンパイラー (ifort) により作成されたオブジェクトを混在させないでください。代わりに、すべての Fortran ソースを同じ Fortran コンパイラーで再コンパイルしてください。GNU Fortran コンパイラーは、Linux* オペレーティング・システムでのみ利用できます。

同様に、GNU Fortran コンパイラー (gfortran) でリンクすると、インテル® C++ コンパイラー、GNU C/C++ コンパイラー、GNU Fortran コンパイラー (gfortran) でコンパイルされたオブジェクト・ファイルを混在させることができます。インテル® コンパイラーの OpenMP* 互換ライブラリーを使用して、GNU* gfortran コンパイラーによりアプリケーションをリンクする場合は、-l オプションでインテルの OpenMP* 互換ライブラリー名とインテルの irc ライブラリー、-l オプションで Linux* pthread ライブラリー、-L オプションでインテル C++ コンパイラーがインストールされている場所にあるインテルのライブラリーへのパスを明示的に渡す必要があります。 リンク行で -fopenmp オプションを指定する必要はありません。

ファイルの種類

コマンド

C ソースと GNU Fortran ソースの混在

gfortran -fopenmp -c foo.f

icc -openmp -c ibar.c

gcc -fopenmp -c gbar.c

gfortran foo.o ibar.o gbar.o -lirc -liomp5 -lpthread -lc -L<icc_dir>/lib

また、インテル® コンパイラーを使用してアプリケーションをリンクするこができますが、-l オプションを使用して、リンク行で複数の gfortran ライブラリーを渡す必要があります。

ファイルの種類

コマンド

C ソースと Fortran ソースの混在

gfortran -fopenmp -c foo.f

icc -openmp -c ibar.c

icc -openmp foo.o bar.o -lgfortranbegin -lgfortran

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