インテル® Fortran コンパイラー 14.0 ユーザー・リファレンス・ガイド
標準の Fortran は、適切な命名規則の適用を含め、C との互換性を保持する構文を提供します。ATTRIBUTES オプションを指定する代わりに、BIND(C) を使用して C との互換性を保持することができます。
ATTRIBUTES オプション (プロパティーとも呼ばれる) の C、STDCALL (Windows* のみ)、REFERENCE、VALUE は、いずれもルーチンの呼び出し規約に影響を与えます。 これらのオプションは、次のように指定することができます。
ルーチン全体に対して、C オプション、STDCALL オプション、および REFERENCE オプションを指定できます。
各引数に対して、VALUE オプションおよび REFERENCE オプションを指定できます。
デフォルトでは、Fortran はすべてのデータを参照で渡します (ただし、例外として文字列型の長さの隠し引数は値で渡されます)。C オプション (または Windows* の場合は STDCALL オプション) が使用された場合は、配列以外のほとんどすべてのデータを値で渡すようにデフォルト設定が変更されます。また、呼び出し規約の C オプションおよび STDCALL オプション以外にも、引数オプションの VALUE および REFERENCE を指定することで、呼び出し規約のオプションとは関係なく、引数を値または参照で渡すことができます。配列は参照でしか渡せません。
特定の属性を持たせるように Fortran プロシージャーを宣言することにより、複数の呼び出し規約を指定できます。
Fortran の一般的な呼び出し規約宣言子の効果を以下の表に要約します。
引数 |
デフォルト |
C |
C、REFERENCE |
STDCALL (IA-32 アーキテクチャー・ベースの Windows* システム) |
STDCALL、REFERENCE (IA-32 アーキテクチャー・ベースの Windows* システム) |
---|---|---|---|---|---|
スカラー |
参照 |
値 |
参照 |
値 |
参照 |
スカラー [値] |
値 |
値 |
値 |
値 |
値 |
スカラー [参照] |
参照 |
参照 |
参照 |
参照 |
参照 |
文字列 |
参照 (Len:End または Len:Mixed) |
文字列 (1:1) |
参照 (Len:End または Len:Mixed) |
文字列 (1:1) |
文字列 (1:1) |
文字列 [値] |
エラー |
文字列 (1:1) |
文字列 (1:1) |
文字列 (1:1) |
文字列 (1:1) |
文字列 [参照] |
参照 (No Len または Len:Mixed) |
参照 (No Len) |
参照 (No Len) |
参照 (No Len) |
参照 (No Len) |
配列 |
参照 |
参照 |
参照 |
参照 |
参照 |
配列 [値] |
エラー |
エラー |
エラー |
エラー |
エラー |
配列 [参照] |
参照 |
参照 |
参照 |
参照 |
参照 |
派生型 |
参照 |
値 (サイズに依存) |
参照 |
値 (サイズに依存) |
参照 |
派生型 [値] |
値 (サイズに依存) |
値 (サイズに依存) |
値 (サイズに依存) |
値 (サイズに依存) |
値 (サイズに依存) |
派生型 [参照] |
参照 |
参照 |
参照 |
参照 |
参照 |
F90 ポインター |
記述子 |
記述子 |
記述子 |
記述子 |
記述子 |
F90 ポインター [値] |
エラー |
エラー |
エラー |
エラー |
エラー |
F90 ポインター [参照] |
記述子 |
記述子 |
記述子 |
記述子 |
記述子 |
命名規則 |
|||||
プリフィックス |
_ (IA-32 アーキテクチャー・ベースの Windows* システム、すべての OS X* システム) なし (その他のシステム) |
_ (IA-32 アーキテクチャー・ベースの Windows* システム、すべての OS X* システム) なし (その他のシステム) |
_ (IA-32 アーキテクチャー・ベースの Windows* システム、すべての OS X* システム) なし (その他のシステム) |
_ |
_ |
サフィックス |
なし (Windows*) _ (Linux*、OS X*) |
なし |
なし |
@n |
@n |
大文字・小文字 |
大文字 (Windows*) 小文字 (Linux*、OS X*) |
小文字 |
小文字 |
小文字 |
小文字 |
スタック・クリーンアップ |
呼び出し元 |
呼び出し元 |
呼び出し元 |
呼び出し先 |
呼び出し先 |
上の表で使用されている用語の意味は以下のとおりです。
C との不一致を解消するには、BIND(C,name=<string>) 属性を使用します。また、ALIAS オプションをほかの Fortran 呼び出し規約オプションとともに使用することで、名前に含まれる大文字・小文字をそのまま維持できます。+
Windows* システムでは、コンパイラー・オプションの /iface を使用することで、デフォルトの引数渡し規則を設定できます。 /iface コンパイラー・オプションには、次のオプションがあります。
オプション |
引数を渡す方法 |
IA-32 アーキテクチャー・ベースのシステム上で @n を名前に追加する |
スタックのクリーンアップ |
Varargs のサポート |
---|---|---|---|---|
/iface:cref |
By Reference (参照渡し) |
X |
呼び出し元 |
○ |
/iface:stdref |
By Reference (参照渡し) |
○ |
呼び出し先 |
X |
/iface:default |
By Reference (参照渡し) |
X |
呼び出し元 |
○ |
/iface:c |
値渡し |
X |
呼び出し元 |
○ |
/iface:stdcall |
値渡し |
○ |
呼び出し先 |
X |
/iface:cvf |
By Reference (参照渡し) |
○ |
呼び出し先 |
X |
Windows* システム: Windows* GUI (グラフィカル・ユーザー・インターフェイス) を使用する場合、または API を呼び出す場合には、一般的に STDCALL を使用します。