インテル® C++ コンパイラー 16.0 ユーザー・リファレンス・ガイド
ルーチン "%s" のすべてのポインター型の引数に "restrict" キーワードを追加します。これにより、行 %d のループに並列化/ベクトル化などの最適化が適用されます。
ファイル全体に適用される -fnoargument-alias (Linux* および OS X*) または /Qno-alias-args (Windows*) の代わりに、このルーチンへのポインター引数に restrict 修飾子を追加できます。この変更は、キーワードが適用されるルーチンにのみ影響するため、より局所的です。
restrict 修飾子は C 標準の C99 の機能です。この修飾子はデータポインターに適用され、ポインター宣言のスコープ内において、そのポインターによりアクセスされるすべてのデータはほかのポインターによってアクセスされないことを示します。restrict キーワードは、オブジェクトがほかのポインターによって変更されないという前提に基づいて、コンパイラーによる特定の最適化を有効にします。restrict 修飾子を持つポインターは意図したとおりに使用されることを確認しなければなりません。そうでない場合、未定義の動作を引き起こします。
C99 プログラム以外をコンパイルする場合、インテル® コンパイラーでは [Q]restrict も指定する必要があります。
次の例について考えてみます。
void matrix_mul_matrix(int N, float * C, float *A, float *B) { int i,j,k; for (i=0; i<N; i++) { for (j=0; j<N; j++) { C[i*N+j]=0; for(k=0;k<N;k++) { C[i*N+j]+=A[i*N+k] * B[k*N+j]; } } } }
この例では、デフォルト設定の O2 でコンパイラーがループ交換やベクトル化などのループの最適化を適用できません。
安全であることが分かっている場合は、次のようにプログラムコードを変更します。
void matrix_mul_matrix(int N, float * restrict C, float * restrict A, float * restrict B) { int i,j,k; for (i=0; i<N; i++) { for (j=0; j<N; j++) { C[i*N+j]=0; for(k=0;k<N;k++) { C[i*N+j]+=A[i*N+k] * B[k*N+j]; } } } }
restrict 修飾子を使用する代わりに、コードをコンパイルする前に -fnoargument-alias または /Qno-alias-args を指定することもできます。
"restrict" ポインター修飾子のセマンティクスに沿っていることを確認してください。ルーチンにおいて、そのポインターによりアクセスされるすべてのデータは、ほかのポインターからはアクセスできません。