インテル® C++ コンパイラー 17.0 デベロッパー・ガイドおよびリファレンス
インテル® C++ コンパイラーには、次に示すコンパイラーの特定のバージョンにより提供される OpenMP* サポートとオブジェクト・レベル互換のある OpenMP* ライブラリーが含まれます。
Microsoft® Visual C++® コンパイラー (Windows®)
GCC (Linux*)
インテル® C++ コンパイラー 10.x 以降
オブジェクト・レベルの互換性とは、あるコンパイラーで生成されたオブジェクト・ファイルと別のコンパイラーで生成されたライブラリーで作成された実行ファイルが正常に動作することを意味します。これに対し、ソース互換とはアプリケーション全体が 1 つのコンパイラーによりコンパイル、リンクされ、ソースを修正しなくても実行ファイルが正常に動作することを意味します。
コンパイラーが異なるとサポートされる OpenMP* 仕様も異なります。アプリケーションが使用する OpenMP* 機能に基づいて、どのバージョンの OpenMP* 仕様が必要かを判断してください。すべてのコンパイラーによりサポートされている OpenMP* 仕様レベルと等しいか、またはそれ以下の OpenMP* 仕様をアプリケーションで採用している場合は、すべてのコンパイラーとソース互換があります。ただし、すべてのオブジェクト・ファイルとライブラリーを同じコンパイラーの OpenMP* ライブラリーでリンクする必要があります。
インテルの OpenMP* ランタイム・ライブラリーは、以下の OpenMP* サポートとのソース互換とオブジェクト・レベルの互換性を提供します。
Visual C++® 2012 以降の OpenMP* をサポートする Microsoft® Visual C++® ライブラリーの特定のバージョン。
GCC バージョン 4.4.2 以降の OpenMP* をサポートする GCC の特定のバージョン。
インテル® C++ コンパイラー 10.0 以降とその OpenMP* 互換ライブラリー。
インテル® コンパイラーの異なるバージョンを使用する際のガイドライン
リンク時または実行時の問題を回避するには、次の点に注意してください。
現行のインテル® C++ コンパイラーで生成されたオブジェクト・モジュールは、インテル® コンパイラー 10.0 より前のバージョンでコンパイルされたオブジェクト・モジュールとは互換性がありません。
現行のインテル® C++ コンパイラーで生成されたオブジェクト・モジュールは、インテル® C++ コンパイラー 10.0 以降のバージョンの互換ライブラリーで生成されたオブジェクト・モジュールと互換性があります。
OpenMP* スタティック・ライブラリーではなく、ダイナミック・ライブラリーを使用して、ライブラリーの複数のコピーが 1 つのプログラムにリンクされないようにします。
インテル® C++ コンパイラーとその他のコンパイラーを併用する際のガイドライン
リンク時または実行時の問題を回避するには、次の点に注意してください。
常にインテル® C++ コンパイラーの OpenMP* ライブラリーを使用してリンクします。これにより、異なるコンパイラーから OpenMP* ランタイム・ライブラリーの複数のコピーがリンクされるのを防ぎます。インテル® C++ コンパイラーのコマンド (ドライバー) を使用してアプリケーションをリンクする方法が最も簡単ですが、GCC または Visual C++® コンパイラー (またはリンカー) コマンドを使用してアプリケーションをリンクしている場合は、インテル® コンパイラーの OpenMP* ライブラリーでリンクすることもできます。
可能であれば、すべての OpenMP* ソースを同じコンパイラーでコンパイルします。 ライブラリーとのオブジェクト・レベルの互換性を提供する Microsoft® Visual C++® コンパイラーや GNU* コンパイラーなどの複数のコンパイラーを使用して、コンパイル (リンクはしません) を行う場合は、「OpenMP* ライブラリーの使用」を参照してください。
OpenMP* スタティック・ライブラリーではなく、ダイナミック・ライブラリーを使用して、ライブラリーの複数のコピーが 1 つのプログラムにリンクされないようにします。
OpenMP* ライブラリーをその他のコンパイラーで使用する際の制限
オブジェクト・レベルの互換性における threadprivate オブジェクトの制限は次のとおりです。
Windows® システム: インテル® C++ コンパイラーは threadprivate データを参照する際、デフォルト (/Qopenmp-threadprivate:legacy) で Microsoft® Visual C++® コンパイラーとは異なる方法を用います。コードで変数を threadprivate と宣言し、当該コードをインテル® C++ コンパイラーと Visual C++® コンパイラーの両方でコンパイルする場合、インテル® C++ コンパイラーでコンパイルされたコードと Visual C++® コンパイラーでコンパイルされたコードでは、同じスレッドによって参照されていたとしても、異なる場所の変数が参照されます。Microsoft® Visual C++® コンパイラーでコンパイルされたコードと同じ threadprivate 場所を参照させるには、インテル® C++ コンパイラーでのコンパイル時に、/Qopenmp-threadprivate:compat オプションを使用します。
Linux* システム: インテル® C++ コンパイラーは threadprivate データを参照する際、デフォルト (-qopenmp-threadprivate:legacy) で GCC とは異なる方法を用います。コードで変数を threadprivate と宣言し、当該コードをインテル® C++ コンパイラーと GCC コンパイラーの両方でコンパイルする場合、インテル® C++ コンパイラーでコンパイルされたコードと GCC コンパイラーでコンパイルされたコードでは、同じスレッドによって参照されていたとしても、異なる場所の変数が参照されます。GCC コンパイラーでコンパイルされたコードと同じ threadprivate 場所を参照させるには、インテル® C++ コンパイラーでのコンパイル時に、-openmp-threadprivate:compat オプションを使用します。