インテル® C++ コンパイラー 18.0 デベロッパー・ガイドおよびリファレンス
ここでは、浮動小数点変換操作用のインテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 2 (インテル® SSE2) の組込み関数について説明します。インテル® SSE2 の組込み関数のプロトタイプは、ヘッダーファイル emmintrin.h 内にあります。
変換組込み関数は、データ型を他のデータ型に変換します。_mm_cvtpd_ps 組込み関数などによって実行される一部の変換を行うと、データの精度が低下します。このような場合に使用する丸めモードは、MXCSR レジスターの値によって決まります。デフォルトの丸めモードは、最近値への丸めです。
C および C++ 言語は、型変換の実行時に切り捨てモードを使用します。_mm_cvttpd_epi32 および _mm_cvttsd_si32 組込み関数は、MXCSR レジスターで指定した丸めモードに関係なく、切り捨てモードを使用します。
各組込み関数演算の結果はレジスターに配置されます。各レジスターに配置される値については、次の表の関数名の詳細で示します。各組込み関数の結果レジスターは R、R0、R1、R2、および R3 で示します。それぞれ、結果が配置されるレジスターを表します。
組込み関数名 |
演算 |
対応するインテル® SSE2 命令 |
---|---|---|
_mm_cvtpd_ps |
倍精度浮動小数点値から単精度浮動小数点値への変換 |
CVTPD2PS |
_mm_cvtps_pd |
単精度浮動小数点値から倍精度浮動小数点値への変換 |
CVTPS2PD |
_mm_cvtepi32_pd |
下位の整数値から倍精度浮動小数点値への変換 |
CVTDQ2PD |
_mm_cvtpd_epi32 |
倍精度浮動小数点値から整数値への変換 |
CVTPD2DQ |
_mm_cvtsd_si32 |
下位の倍精度浮動小数点値から整数値への変換 |
CVTSD2SI |
_mm_cvtsd_ss |
下位の倍精度浮動小数点値から単精度浮動小数点値への変換 |
CVTSD2SS |
_mm_cvtsi32_sd |
符号付き整数値から倍精度浮動小数点値への変換 |
CVTSI2SD |
_mm_cvtss_sd |
下位の単精度浮動小数点値から倍精度浮動小数点値への変換 |
CVTSS2SD |
_mm_cvttpd_epi32 |
倍精度浮動小数点値から符号付き整数値への変換 |
CVTTPD2DQ |
_mm_cvttsd_si32 |
下位の倍精度浮動小数点値から符号付き整数値への変換 |
CVTTSD2SI |
_mm_cvtpd_pi32 |
2 つの倍精度浮動小数点値から符号付き整数値への変換 |
CVTPD2PI |
_mm_cvttpd_pi32 |
切り捨てを使用した 2 つの倍精度浮動小数点値から符号付き整数値への変換 |
CVTTPD2PI |
_mm_cvtpi32_pd |
2 つの符号付き整数値から倍精度浮動小数点値への変換 |
CVTPI2PD |
_mm_cvtsd_f64 |
最初のベクトル要素から倍精度浮動小数点値の抽出 |
なし |
__m128 _mm_cvtpd_ps(__m128d a);
a の 2 つの倍精度浮動小数点値を単精度浮動小数点値に変換します。
R0 |
R1 |
R2 |
R3 |
---|---|---|---|
(float) a0 |
(float) a1 |
0.0 |
0.0 |
__m128d _mm_cvtps_pd(__m128 a);
a の下位 2 つの単精度浮動小数点値を倍精度浮動小数点値に変換します。
R0 |
R1 |
---|---|
(double) a0 |
(double) a1 |
__m128d _mm_cvtepi32_pd(__m128i a);
a の下位 2 つの符号付き 32 ビット整数値を倍精度浮動小数点値に変換します。
R0 |
R1 |
---|---|
(double) a0 |
(double) a1 |
__m128i _mm_cvtpd_epi32(__m128d a);
a の 2 つの倍精度浮動小数点値を符号付き 32 ビット整数値に変換します。
R0 |
R1 |
R2 |
R3 |
---|---|---|---|
(int) a0 |
(int) a1 |
0x0 |
0x0 |
int _mm_cvtsd_si32(__m128d a);
a の下位の倍精度浮動小数点値を符号付き 32 ビット整数値に変換します。
R |
---|
(int) a0 |
__m128 _mm_cvtsd_ss(__m128 a, __m128d b);
b の下位の倍精度浮動小数点値を単精度浮動小数点値に変換します。a の上位の単精度浮動小数点値はそのまま渡されます。
R0 |
R1 |
R2 |
R3 |
---|---|---|---|
(float) b0 |
a1 |
a2 |
a3 |
__m128d _mm_cvtsi32_sd(__m128d a, int b);
b の符号付き整数値を倍精度浮動小数点値に変換します。a の上位の倍精度浮動小数点値はそのまま渡されます。
R0 |
R1 |
---|---|
(double) b |
a1 |
__m128d _mm_cvtss_sd(__m128d a, __m128 b);
b の下位の単精度浮動小数点値を倍精度浮動小数点値に変換します。a の上位の倍精度浮動小数点値はそのまま渡されます。
R0 |
R1 |
---|---|
(double) b0 |
a1 |
__m128i _mm_cvttpd_epi32(__m128d a);
切り捨てを使用して、a の 2 つの倍精度浮動小数点値を符号付き 32 ビット整数値に変換します。
R0 |
R1 |
R2 |
R3 |
---|---|---|---|
(int) a0 |
(int) a1 |
0x0 |
0x0 |
int _mm_cvttsd_si32(__m128d a);
切り捨てを使用して、a の下位の倍精度浮動小数点値を符号付き 32 ビット整数に変換します。
R |
---|
(int) a0 |
__m64 _mm_cvtpd_pi32(__m128d a);
a の 2 つの倍精度浮動小数点値を符号付き 32 ビット整数値に変換します。
R0 |
R1 |
---|---|
(int)a0 |
(int) a1 |
__m64 _mm_cvttpd_pi32(__m128d a);
切り捨てを使用して、a の 2 つの倍精度浮動小数点値を符号付き 32 ビット整数値に変換します。
R0 |
R1 |
---|---|
(int)a0 |
(int) a1 |
__m128d _mm_cvtpi32_pd(__m64 a);
a の 2 つの符号付き 32 ビット整数値を倍精度浮動小数点値に変換します。
R0 |
R1 |
---|---|
(double)a0 |
(double)a1 |
double _mm_cvtsd_f64(__m128d a);
この組込み関数は __m128d の最初のベクトル要素から倍精度浮動小数点値を抽出します。使用されるコンテキストで可能な最も効率的な方法で行われます。
この組込み関数は特定のインテル® SSE2 命令には対応付けられません。