インテル® C++ コンパイラー 18.0 デベロッパー・ガイドおよびリファレンス

ターゲット・プロセッサーの指定

手動プロセッサー・ディスパッチ機能を使用すると、手動でターゲット・プロセッサーを指定できます。プロセッサー・ディスパッチを制御する方法はいくつかあります。

手動プロセッサー・ディスパッチのプログラミングでの cpu_dispatch の使用

コードで __declspec(cpu_dispatch(cpuid, cpuid,...)) 構文を使用すると、ターゲット・プロセッサーのリストと空の関数本体/関数スタブを提供できます。__declspec(cpu_specific(cpuid)) を使用すると、各関数のプロセッサー固有バージョンを宣言できます。

cpuid に設定可能な値は、cpu_specific にあるリストを参照してください。

一致するインテル® プロセッサーが検出されない場合は、generic バージョンの関数が実行されます。インテル以外のプロセッサーでプログラムを実行する場合は、generic バージョンの関数を提供する必要があります。generic バージョンの最適化の程度と想定するプロセッサー機能は制御することができます。

cpuid 属性は大文字と小文字の区別はありません。__declspec(cpu_dispatch) を宣言した関数本体は空でなければなりません。そして、これはスタブ (本体が空の関数) と呼ばれます。

次の例は、cpu_dispatch キーワードと cpu_specific キーワードを使用して、インテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション (インテル® AVX) をサポートする第 2 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー、インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー、インテル® Core™2 Duo プロセッサー・ファミリー、およびその他のインテル® プロセッサーまたは互換プロセッサー向けの関数バージョンを作成する方法を示します。それぞれのプロセッサー固有関数バージョンは、プロセッサー固有の組込み関数を使用しているか、または個別のソースファイルに配置され、プロセッサー固有のコンパイラー・オプションでコンパイルされています。

#include <stdio.h> 
// 次のプロセッサー向けに特定の関数バージョンを生成する必要がある
__declspec(cpu_dispatch(core_2nd_gen_avx, core_i7_sse4_2, core_2_duo_ssse3, generic )) 
void dispatch_func() {};      //  適切な関数バージョンを呼び出すスタブ

__declspec(cpu_specific(core_2nd_gen_avx)) 
void dispatch_func() {  
  printf("\nCode for 2nd generation Intel Core processors with support for Intel AVX goes here\n"); 
} 

__declspec(cpu_specific(core_i7_sse4_2)) 
void dispatch_func() { 
  printf("\nCode for Intel Core processors with support for SSE4.2 goes here\n"); 
} 

__declspec(cpu_specific(core_2_duo_ssse3)) 
void dispatch_func() { 
  printf("\nCode for Intel Core 2 Duo processors with support for SSSE3 goes here\n"); 
} 

__declspec(cpu_specific(generic)) 
void dispatch_func() { 
  printf("\nCode for non-Intel processors and generic Intel processors goes here\n"); 
} 

int main() { 
  dispatch_func(); 
  printf("Return from dispatch_func\n"); 
  return 0;
}

注意事項

手動ディスパッチを使用する前に、この機能を使用するメリットがデメリット (追加工数とパフォーマンス低下の可能性) よりも重要かどうかをよく考慮してください。コードで手動プロセッサー・ディスパッチを使用する場合、次のような問題が発生することがあります。

リリース前に、すべてのターゲット・プラットフォームでアプリケーションをテストしてください。

プラグマを使用して手動でターゲット・プロセッサーを指定する

#pragma intel optimization_parameter target_arch を使用して、特定のインテル® プロセッサーで実行するルーチンに対してコードでフラグを設定できます。このプラグマは、ルーチンレベルで -m オプションや /arch オプションを制御し、コマンドラインで指定されたオプションの値よりも優先されます。ターゲット・プロセッサーには、-m オプションや /arch オプションと同じ値を使用します。次の例は、コマンドラインで指定された値に関係なく、プラグマを使用してルーチン bar() をインテル® AVX 対応プロセッサーでのみ実行するようにする方法を示します。

include <immintrin.h>
#define N 1024

double x[N], y[N], z[N];

void VectorMultiply(int allow_avx)
{
    int i;
    if (allow_avx) {
        _allow_cpu_features(_FEATURE_AVX);
        for (i = 0; i < N; i++) {
            z[i] = x[i] * y[i];
        }
    }
    else {
        for (i = 0; i < N; i++) {
            z[i] = x[i] * y[i];
        }
    }
}

また、_allow_cpu_features 組込み関数を使用して、コード領域が特定の機能をサポートするプロセッサー専用であることをコンパイラーに伝え、_may_i_use_cpu_feature で、プロセッサー固有機能が利用可能かどうか判断するため、ソースレベルで動的にプロセッサーに問い合わせることができます。

最適化に関する注意事項

インテル® コンパイラーでは、インテル® マイクロプロセッサーに限定されない最適化に関して、他社製マイクロプロセッサー用に同等の最適化を行えないことがあります。これには、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 2、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 3、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 3 補足命令などの最適化が該当します。インテルは、他社製マイクロプロセッサーに関して、いかなる最適化の利用、機能、または効果も保証いたしません。本製品のマイクロプロセッサー依存の最適化は、インテル® マイクロプロセッサーでの使用を前提としています。インテル® マイクロアーキテクチャーに限定されない最適化のなかにも、インテル® マイクロプロセッサー用のものがあります。この注意事項で言及した命令セットの詳細については、該当する製品のユーザー・リファレンス・ガイドを参照してください。

注意事項の改訂 #20110804

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