インテル® C++ コンパイラー 19.0 デベロッパー・ガイドおよびリファレンス

オフロード抽出ツール

このトピックは、インテル® メニー・インテグレーテッド・コア (インテル® MIC) アーキテクチャーにのみ適用されます。

説明

オフロード抽出ツールは、Windows* および Linux* システムで、FAT オブジェクトから組込みターゲット・オブジェクトを、FAT 実行ファイルから組込みターゲットバイナリーを抽出するスタンドアロン・ツールです。インテル® MIC アーキテクチャー関連のオフロード実行で利用できます。簡潔に表記するため、このトピックでは、インテル® MIC アーキテクチャーのターゲット・オブジェクトと実行ファイルはインテル® MIC ターゲット・オブジェクトと実行ファイルとします。

特徴と利点

インテル® MIC オフロード・オブジェクト/バイナリーはホスト・オブジェクト/バイナリーに組み込まれているため、デフォルトでは objdumpreadelf などのツールで解析やデバッグを行って直接検証することはできません。

しかし、64 ビットの Linux* システムまたは 64 ビットの Windows* システムでは、オフロード抽出ツールを利用して、FAT オブジェクト/バイナリーからインテル® MIC オブジェクト/バイナリーを抽出することができます。抽出されたものは、objdump または readelf ツールで解析可能な ELF オブジェクトです。

ツールの使用

ターゲット・オブジェクト・ファイルを抽出するには、次のようにオフロード抽出ツールを起動します。

offload_extract  <fat host object>

抽出されるインテル® MIC ターゲット・オブジェクトは、入力オブジェクト・ファイル名に MIC が追加された名前になります。 ターゲット・オブジェクトは ELF 形式なので、オブジェクト・ファイル名の拡張子は .o になります。次に例を示します。

offload_extract host.obj => hostMIC.o

ターゲット実行ファイルを抽出するには、次のようにオフロード抽出ツールを起動します。

offload_extract  <fat host binary>

抽出されるインテル® MIC ターゲット実行ファイルは、入力実行ファイル名に MIC が追加された名前になります。 次に例を示します。

offload_extract host.exe => hostMIC.mic

アーカイブ・ライブラリーからターゲット・オブジェクト・ファイルを抽出するには、最初に FAT アーカイブ・ライブラリーから個々の FAT オブジェクトを抽出し、各 FAT オブジェクトに対してオフロード抽出ツールを呼び出します。次に例を示します。

ar -x libhost.a
offload_extract <individual fat host object>

オプションの使用

オフロードバイナリー/実行ファイルの抽出を制御するオプションは 2 つあります。

ターゲットファイル名または出力ディレクトリーを指定するには、-o オプションを指定します。構文は次のとおりです。

offload_extract <fat host object|binary> [-o <output filename>]
offload_extract <fat host object|binary> [-o <output directory>]

-o オプションを使用する場合、生成されるターゲット出力ファイル名とディレクトリーに MIC は追加されません。

特定のインテル® MIC ターゲット・オブジェクト/実行ファイルを抽出するには、-target オプションを使用します。構文は次のとおりです。

offload_extract <fat host object|binary> [–target mic]