インテル® Fortran コンパイラー 19.0 デベロッパー・ガイドおよびリファレンス
ダイナミック・リンク・ライブラリー (.DLL) は、それを使用するアプリケーションとは別にコンパイルおよびリンクされるソース・コード・ライブラリーです。DLL は、コードおよびデータアドレス領域を呼び出し側のアプリケーションと共有します。DLL にはメインプログラムではなく、サブプログラムのみ含まれています。
DLL は、スタティック・ライブラリーと同様にコードの整理がしやすいという利点のほかに、インターフェイスが少し複雑になりますが、実行ファイルのサイズが小さくなるという利点もあります。DLL のオブジェクト・コードは、プログラムの実行ファイルには含まれず、プログラムの実行時に、必要に応じて動的に関連付けられます。複数のプログラムが、同時に 1 つの DLL にアクセスすることができます。
呼び出された DLL 内のルーチンは、必要に応じてランタイムにメモリーにロードされます。これは、複数のアプリケーションが、共通のルーチンのグループを使用する場合に非常に便利です。これらの共通ルーチンを DLL に格納することで、DLL を呼び出す各アプリケーションのサイズを小さくすることができます。さらに、DLL を呼び出すアプリケーションをリビルドせずに、DLL 内のルーチンを更新することができます。
インテル® Fortran では、DLL を次の 2 つの方法で使用することができます。
独自のルーチンを含む DLL をビルドすることができます。Visual Studio* で、プロジェクトの種類から [Dynamic-Link Library (ダイナミック・リンク・ライブラリー)] を選択します。コマンドラインでは、ifort コマンドの /DLL オプションを使用します。
メイン・アプリケーション・ファイルではなく、別の DLL に格納されたランタイム・ライブラリーを使用するアプリケーションをビルドすることができます。統合開発環境で、ソリューションを開いて次の操作を行います。
[プロジェクト] メニューから [プロパティ] を選択してプロジェクトの [プロパティ ページ] ダイアログボックスを表示します。
[Fortran] をクリックします。
[Libraries (ライブラリー)] カテゴリーを選択します。
[Runtime Library (ランタイム・ライブラリー)] オプションで、語尾が "DLL" のオプションを選択します。
コマンドラインからキーワード dll を指定して libs コンパイラー・オプションを使用すると、別の DLL に格納されているランタイム・ライブラリーを使用するアプリケーションをビルドすることができます。