インテル® Fortran コンパイラー 19.0 デベロッパー・ガイドおよびリファレンス
このトピックは、Windows* にのみ適用されます。
COM サーバーは、1 つまたは複数のオブジェクト・クラスで構成されています。オブジェクト・クラスは、オブジェクトのすべての公開呼び出しインターフェイス ("宣言") を記述する型で、オブジェクトで利用可能にする機能を記述します。COM サーバーは、クライアントの要求に応じて、クラスのインスタンス (オブジェクト) を作成します。
Fortran コードを COM サーバーとして実装すると、次のような利点があります。
COM サーバーは再利用可能なコンポーネントなので、複数のアプリケーションで使用することができます。サーバーによって指定されるクラスは、サーバーとそのクライアントの間の "契約" を定義します。サーバーは、契約を破棄することなく、特定の機能の実装を変更することができます。つまり、クライアントを変更したり、リビルドする必要はありません。
COM サーバーは、プログラミング言語に依存しません。Microsoft* Visual Basic*、C++、および Fortran を含む複数の開発ツールを使用して、サーバーの機能にアクセスすることができます。
COM サーバーは自己記述型です。クラスとインターフェイスを記述するタイプ・ライブラリーを提供します。多くのツールは、この情報を使用して下位レベルの呼び出しの詳細 (呼び出し規約など) を処理し、ユーザーの負担を軽減します。これは、クライアント開発者がデータ型や呼び出し規約の詳細を理解しなければならない、DLL を使用する言語が混在したプログラミングと比べて、大きな改善といえます。
COM サーバーは自動的に登録されます。COM はシステム・レジストリーの情報からサーバーの場所を特定できるため、クライアントはシステム内のサーバーの場所について考慮する必要はありません。
COM サーバーは、インプロセス・サーバーとして実装することができます。DLL と同様に、クライアントのプロセスにロードされます。COM サーバーは、別のアプリケーションとして実装したり、別のマシンに置くこともできます。
インテル® Fortran は、COM サーバーの構造を変更し、実装に必要な Fortran コードを生成するための、Fortran COM サーバーウィザードとエディターを提供しています。これらを使用することで、クライアントに提供する機能固有のコードに集中することができます。
「COM オブジェクトとオートメーション・オブジェクトの理解」で説明しているように、COM は 2 種類のサーバー (COM サーバーとオートメーション・サーバー) をサポートしています。Fortran COM サーバーウィザードは、COM サーバーまたはデュアル・インターフェイスをサポートするサーバーのみ作成することができます。オートメーション・インターフェイスだけのサーバーは作成できません。
COM サーバーの作成についての詳細は、「Fortran COM サーバーの作成」を参照してください。