Linux* 版インテル(R) C++ コンパイラ 8.1
リリースノート

インテル(R) IA-32 および Itanium(R) プロセッサ用

目次

概要
新機能
動作環境
インストール
既知の制限事項
テクニカル・サポート
ドキュメント
追加情報
著作権と商標について

概要

Linux* 版インテル(R) C++ コンパイラは、すべてのインテル(R) IA-32 プロセッサおよびインテル(R) Itanium(R) プロセッサに対応し、これらのプロセッサ上できわめて高速に動作するソフトウェアを生成します。インテル(R) コンパイラは、インテル(R) Pentium(R) 4 プロセッサと Pentium M プロセッサのストリーミング SIMD 拡張命令 2 (SSE2)、ハイパー・スレッディング (HT) テクノロジ インテル Pentium 4 プロセッサのストリーミング SIMD 拡張命令 3 (SSE3)、インテル Itanium 2 プロセッサのソフトウェアのパイプライン化など数々の最適化機能に対応しているほか、プロシージャ間の最適化 (IPO) やプロファイルに基づく最適化 (PGO) によってアプリケーションのパフォーマンスを大きく向上させます。また、OpenMP* に対応し、自動並列化機能も備えるなど、マルチスレッド・コードの開発もサポートしています。

インテル・コンパイラを使用して、Pentium 4 プロセッサおよび Itanium プロセッサ用にアプリケーションを最適化する方法については、『Optimizing Applications with the Intel C++ and Fortran Compilers for Windows* and Linux』(英語) を参照してください。インテル・ソフトウェア開発製品の詳しい情報については、http://www.intel.co.jp/jp/developer/software/products/ を参照してください。

製品の内容

IA-32 ベース・アプリケーション開発用インテル C++ コンパイラ

IA-32 ベース・アプリケーション開発用インテル C++ コンパイラは以下の内容で構成されています。

Itanium ベース・アプリケーション開発用インテル C++ コンパイラ

Itanium ベース・アプリケーション開発用インテル C++ コンパイラは、以下の内容で構成されています。

バージョン 8.1 の新機能

このセクションでは、インテル C++ コンパイラ 8.1 の新機能および変更点について説明します。

C++ 用デフォルト・ライブラリの変更 (-cxxlib-gcc)

C++ アプリケーションをリンクする際、これまでのリリースで使用されていた Dinkumware* ライブラリではなく、STL および gcc* C++ ライブラリが使用されるようになりました。これまでどおり Dinkumware ライブラリを使用する場合は、新しいスイッチ -cxxlib-icc を指定してください。

コンパイラ・ドライバの変更

C コンパイラ・コマンド・ドライバ (icc) は、ファイル名の拡張子に基づいて使用する言語を判断します。ただし、事前処理されたファイル (*.i) をコンパイルする場合、icc ドライバは C 言語を想定し、C++ ドライバの icpc は C++ 言語を想定します。C++ アプリケーションには、C++ コンパイラ・ドライバを使用することを推奨します。C コンパイラ・ドライバ (icc) は C++ ライブラリをリンクしないため、生成される実行ファイルのサイズは小さくなります。アプリケーションで C++ ライブラリを使用する必要がある場合は、C++ コンパイラ・ドライバ (icpc) を代わりに使用してください。

新しい事前定義済みマクロ

次の新しい事前定義済みマクロが利用可能になりました。

-O3 による高度なループ最適化とメモリ最適化

このバージョンでは、-O3 を指定すると、パフォーマンスの向上に役立つ、追加のループ最適化 (交換、分配、折りたたみ) およびメモリ・アクセスの最適化が有効になります。

-fast の意味の変更

バージョン 8.1 では、-fast を指定すると、オプション -O3 -ipo -static -xP が指定されます。

新しい -[no-]global-hoist 最適化オプション

-[no-]global-hoist は、ホイスト・ロードおよびスペキュレーティブ・ロード (プログラム実行時にメモリ・ロードをソース内の位置よりも前のポイントに移動する最適化プロセス) を制御するオプションです。ほとんどの場合、これらのオプションは安全にパフォーマンスを向上させることができます。デフォルトは -global-hoist (最適化有効) です。

しかし、共有メモリまたは動的にマップされたメモリを使用するアプリケーションでは、ロードが実行ストリームで非常に前 (例えば、メモリがマップされる前) に移動されると問題が発生します。これらの最適化を無効にするには、マップされたメモリまたは共有メモリを参照するソース・ファイルをコンパイルするときに -no-global-hoist オプションを指定します。

-ipo 中間言語のオブジェクト・ファイルへの埋め込み

以前のバージョンでは、-ipo が使用されると、中間言語を含む複数の .il ファイルが生成され、これらの複数のファイルを makefile でビルドするのは非常に困難でした。このバージョンでは、中間言語は .o ファイルに埋め込まれるため、複数の .il ファイルは生成されません。

複数のオブジェクトを作成する新しい -ipoN オプション

以前のバージョンでは、-ipo を指定してマルチファイル IPO 実行すると、リンカへの入力として 1 つのオブジェクト・ファイルのみが生成されていました。これは、バージョン 8.1 でもデフォルトの動作です。バージョン 8.1 で新しくなったのは、リンカへの入力用に複数のオブジェクト・ファイルをコンパイラが作成できるようになった点です。この機能により、大規模なアプリケーションではリンク時間が短くなることがあります。生成されるオブジェクト・ファイルの最大数を指定するには、-ipoN オプション (N は作成されるオブジェクト・ファイルの最大数) を使用します。例えば、-ipo4 は最大 4 つのオブジェクト・ファイルを指定します。コンパイラは、アプリケーションのサイズに応じて、最大数以下のファイルを作成します。-ipo0 が指定されると、コンパイラは、アプリケーションの合計サイズに基づいて、オブジェクト・ファイルの適切な数を選択します。

スレッド・ローカル格納領域用 __thread キーワードのサポート

コンパイラは、スレッド・ローカル領域として、gcc 互換の __thread キーワードをサポートします。この機能の使用方法については、gcc のドキュメントを参照してください。

-fno-exceptions のサポート (IA-32)

–fno-exceptions オプションは例外処理テーブルの生成をオフにするため、生成されるコードは小さくなります。try ブロック、例外処理仕様、またはthrow 文のような例外処理コンストラクタを使用すると、無視されるかエラーになります。

このオプションが使用されない場合、プリプロセッサ・シンボル __EXCEPTIONS が定義されます。このオプションが使用された場合は定義されません。

-fno-exceptions は、Itanium ベース・システムでは現在サポートされていません。

OpenMP スケジューリング制御用の KMP_SCHEDULE 環境変数

新しい環境変数 KMP_SCHEDULE は、OpenMP でチャンクサイズを指定することなく静的にスケジュールされる並列ループの負荷のバランス調整に使用することができます。デフォルト値は KMP_SCHEDULE="static,greedy" です。反復結果 (#iterations/#threads) は切り上げられてほとんどのスレッドに割り当てられますが、最後のスレッドに割り当てられる反復回数は少なくなります。これは、以前のコンパイラの動作に相当します。別の値 KMP_SCHEDULE="static,balanced" を使用すると、反復結果は切り捨てられてほとんどのスレッドに割り当てられ、いくつかのスレッドに割り当てられる反復回数は他のスレッドよりも 1 回多くなります。スレッドに割り当てられる最大の反復回数は同じですが、各スレッドの反復回数が平均化することで、パフォーマンスの向上につながることがあります。

例えば、4 つのスレッドで反復回数が 9 回のループを実行すると、次のようになります。

KMP_SCHEDULE

反復回数

 

スレッド 0

スレッド 1

スレッド 2

スレッド 3

"static,greedy"

3

3

3

0

"static,balanced"

3

2

2

2

その他の新しいオプション

これらのオプションの情報は、『コンパイラ・オプション・クイック・リファレンス・ガイド』の「新規オプション」を参照してください。

Eclipse

IA-32 システム用インテル C++ コンパイラ 8.1 は、Eclipse 統合開発環境 (IDE)、C/C++ 開発ツール (CDT)、および Eclipse を使用するために必要な関連コンポーネントをインストールします。

Eclipse とは?

Eclipse は、オープン・ソースのソフトウェア開発環境プロジェクトで、高度に統合されたツールを開発するための、強力でフル機能を備えた、商用品質の標準プラットフォームを提供することを目的としています。Eclipse は、拡張可能なオープン・ソース IDE で、プラットフォームおよび言語に中立な、ユニバーサル・ツール・プラットフォームです。インテル コーポレーションは、Eclipse Foundation (www.eclipse.org) の支援メンバです。

CDT とは?

CDT (C/C++ Development Tools) プロジェクトは、Eclipse のサブ・プロジェクトで、Eclipse プラットフォーム用のフル機能を備えた C/C++ 統合開発環境を提供することを目的にしています。CDT は完全なオープン・ソースで、Eclipse プラットフォームへのプラグインのセットとして Java* に実装されています。

32 ビット・アプリケーション開発用インテル C++ コンパイラと一緒に出荷されている Eclipse、CDT および JRE のバージョンは何ですか?

32 ビット・アプリケーション開発用インテル C++ コンパイラは、Eclipse バージョン 2.1.3、CDT バージョン 1.2.1 および BEA* WebLogic* JRockit* JRE バージョン 1.4.2_04 と一緒にパッケージされています。

32 ビット・アプリケーション開発用インテル C++ コンパイラと一緒に、Eclipse、CDT および JRE をインストールしました。Eclipse はどのように起動するのですか?

<INSTALLDIR>/bin/iccec (<INSTALLDIR> はインテル C++ コンパイラをインストールしたディレクトリ) を実行してください。デフォルトでは、<INSTALLDIR>/opt/intel_cc_80 です。

32 ビット・アプリケーション開発用インテル C++ コンパイラに含まれているバージョンの Eclipse を使用しないで、他のバージョンの Eclipse を使用できますか?

他のバージョンの Eclipse と CDT を使用することは可能です。ただし、インテルでは、Eclipse バージョン 2.1.3 および CDT バージョン 1.2.1 でのみ、32 ビット・アプリケーション開発用インテル C++ コンパイラの動作を確認しています。

インテル C++ コンパイラに含まれているバージョン以外の JRE を使用できますか?

互換性があれば、任意のバージョンの JRE を使用できます。Eclipse を実行、起動するには、適切な JRE が必要です。Eclipse プロジェクト (www.eclipse.org) (英語) のビルド・ページには、その Eclipse のビルドで動作する Java 開発キットと Java ランタイム・ダウンロードのページへのリンクがあります。現在の環境およびライセンス条件に最も適した JRE を選択するようにしてください。インテルでは、インテル C++ パッケージに含まれている JRE と互換性のない JRE については動作を確認していない点にご注意ください。

JRE を別にインストールしています。この JRE をインテル C++ コンパイラと一緒にインストールした Eclipse で使用するにはどうすればいいですか?

環境変数 OTHER_JVM_BINDIR を設定する必要があります。変数 OTHER_JVM_BINDIR の値を、システムにインストールした JRE の java ファイル・フォルダのフル・パスに設定します。bash シェルを使用している場合は、この環境変数を export したか確認してください。

システムに Eclipse、CDT および JRE をインストールしています。インテル C++ コンパイラをインストールするときに、これらのインスタンスをインストールしないで、既にインストールされている Eclipse、CDT および JRE をインテル C++ コンパイラで使用できますか?

使用できます。適切なファイルとフォルダが作成されていれば、インテル C++ コンパイラは既にインストールされている Eclipse 環境にプラグインされます。<INSTALLDIR>/bin/iccec ファイル (<INSTALLDIR> はインテル C++ コンパイラをインストールしたディレクトリ) を使用する場合は、iccec ファイルの内容を次のように変更する必要があります。

  1. 変数 OTHER_JVM_BINDIR の値を、システムにインストールした JRE の java ファイル・フォルダのフル・パスに設定します。bash シェルを使用している場合は、この環境変数を export したか確認してください。

  2. 変数 OTHER_ECLIPSE_BIN の値を、Eclipse インストール・フォルダにある eclipse バイナリのフル・パスに設定します。bash シェルを使用している場合は、この環境変数を export したか確認してください。例えば、Eclipse を /opt/intel/eclipse にインストールした場合、OTHER_ECLIPSE_BIN/opt/intel/eclipse/eclipse に設定されます。(ファイルが存在していることを確認してください)

  3. Eclipse インストール・フォルダ以下 (plugins および features と同じレベル) に、links という名前のフォルダを作成します。作成した links フォルダに intel.compiler.cdt.link という名前のファイルを作成します。intel.compiler.cdt.link ファイルに次の行を追加します。
      path="<INSTALLDIR>"
    ここで、<INSTALLDIR> は、インテル C++ コンパイラをインストールしたディレクトリ (デフォルト、/opt/intel_cc_80) です。

  4. 次に、iccec スクリプトを実行して、使用する Eclipse、CDT および JRE のバージョンを選択します。ライブラリのロードに関してエラーが発生する場合は、LD_LIBRARY_PATH に Eclipse ライブラリのフォルダが含まれていることを確認してください。

インテル C++ コンパイラのインストール時に "Intel(R) C++ Compiler features and plugins for integration into Eclipse* CDT development environment, Version 8.1" で intel-icc_ide8-8.1-xxx.i386.rpm をインストールしないように選択しました。しかし、コンパイラのインストール後、このコンポーネントをインストールすることにしました。どうすればインストールできますか?

IA-32 システムでインテル C++ コンパイラをインストールしたときに "Intel(R) C++ Compiler features and plugins for integration into Eclipse* CDT development environment, Version 8.1" で intel-icc_ide8-8.1-xxx.i386.rpm をインストールしなかった場合、次の 2 つの方法でこのコンポーネントをインストールすることができます。

  1. コンパイラのインストール・プログラムを実行して、メイン・メニューでオプション 3 (Eclipse Package) を選択します。このオプションを選択すると、インストール・プログラムはインストールされていないインテル C++ の機能とプラグインを検出して、これらをインストールするオプションを提供します。このコンポーネントをインストールするように選択します。コンポーネントのインストールが完了したら、Eclipse Package の残りのコンポーネントをインストールするか、インストール・プログラムを終了するかを選択できます。

  2. インテル C++ コンパイラをアンインストールしてから、"features and plugins" コンポーネントを選択してコンパイラを再インストールする。この場合、パッチとして提供されている製品のアップデートを再インストールする必要がある点に注意してください。

Eclipse の情報はどこから入手できますか?

Eclipse Foundation の Web サイト (http://www.eclipse.org/) を参照してください。Eclipse FAQ (http://www.eclipse.org/eclipse/faq/eclipse-faq.html) (英語) には、導入についての情報およびオンライン・ドキュメントが掲載されています。

バージョン 8.0 の新機能

インテル C++ コンパイラ 8.0 では、HT テクノロジ インテル Pentium 4 プロセッサ (SSE3 対応) 向けの最適化がサポートされています。また、C/C++ プログラムと gcc のソース/バイナリ互換が向上し、デバッグのサポートが強化されています。さらに、コード・カバレッジ・ツールおよびテスト・プライオリタイゼーション・ツールが新しく追加されるなど、ユーザからの要望に応えて開発されたさまざまな機能が含まれています。

コンパイラ・ドライバ名の変更

Itanium ベース・システムでインテル C++ コンパイラを使用する場合、IA-32 のコンパイラ・ドライバ名との整合性に配慮し、Itanium ベース・システムのコンパイラ・ドライバ名が ecc から iccecpc から icpc に変更されたことに注意してください。現在、以前のドライバ名はサポートされていますが、今後、廃止される可能性がありますのでご注意ください。

新しいパッケージのディレクトリ構造

パッケージのディレクトリ構造は、「Linux Standard Base」の一部の FHS (Filesystem Hierarchy Standard) に対応するように変更されています。FHS の詳細は http://www.pathname.com/fhs/2.2/fhs-3.12.html (英語) を参照してください。

デフォルトのリンク動作の変更

コンパイラの設定ファイル <install_dir>/bin/icc.cfg と <install_dir>/bin/icpc.cfg が変更され、リンカへの RPATH コマンドが削除されました。このコマンドは、以前のバージョンで、実行ファイル形式のインテル共用ライブラリの場所を設定していたものです。この RPATH ディレクティブを設定ファイルに記述する方法では、"icc" とだけ入力した場合に、次のようなエラーが表示されていました。
/usr/lib/crt1.o: In function `_start':
/usr/lib/crt1.o(.text+0x18): undefined reference to `main'
このエラーの原因は、使用しているコンパイラやインストールに問題があるのではないかという混乱を招いたため、このバージョンでは RPATH ディレクティブが削除され、"icc" と入力すると次のように詳細なエラー・メッセージが表示されるようになりました:
icc: Command line error: no files specified; for help type "icc -help" ただし、実行ファイルにはインテル共用ライブラリの場所が含まれていないため、その場所を指定する必要があります。次のいずれかの方法で指定できます。
  1. LD_LIBRARY_PATH 環境変数にインテル共用ライブラリの場所を含める。sh 型のシェルの場合は、" export LD_LIBRARY_PATH=$LD_LIBRARY_PATH:<install_dir>/lib" と入力する。
  2. ldconfig システム・ユーティリティを使用する。(注: ユーティリティの実行には、root ユーザ権限が必要です。)
  3. コンパイラの設定ファイル <install_dir>/bin/icc.cfg を変更する。
次のようなエラー・メッセージが表示された場合は、上記の 3 つのいずれかの方法を使用してインテル共用ライブラリの場所を設定する必要があります:
error while loading shared libraries: libcprts.so.5: cannot open shared object file: No such file or directory

インテル Pentium 4 プロセッサ (SSE3 命令セット対応) 向けの最適化のサポート

新しいインテル Pentium 4 プロセッサは、複素数データ型、浮動小数点から整数への変換、および水平加算を含むベクトル化ループのパフォーマンスを向上させる新しいストリーミング SIMD 拡張 3 (SSE3) 命令セットをサポートしています。

バージョン 8.0 では、SSE3 をサポートするインテル・プロセッサ用の最適化機能が追加されました。この機能を使用するには、-xP または -axP オプションを指定します。詳細は、『インテル® C++ コンパイラ・ユーザーズ・ガイド』の「最適化」のセクションを参照してください。

IA-32 プロセッサ用の新しい最適化オプション

このリリースでは、2 つの新しいコード生成オプションが追加されました。-xB および -axB は、インテル Pentium M プロセッサで最高のパフォーマンスを引き出すコードを生成するようにコンパイラに指示します。新しい -xN および -axN オプションは、すべてのインテル Pentium 4 プロセッサ向けに最適化します。Pentium 4 プロセッサで最高のパフォーマンスを引き出すため、新しい -xN および -axN オプションを使用することを推奨します。Pentium M プロセッサの場合は、-xB または -axB オプションを使用してください。詳細は、『インテル® C++ コンパイラ・ユーザーズ・ガイド』の「最適化」のセクションを参照してください。

サポートされなくなった最適化オプション

最適化オプション -[a]xi (Pentium Pro および Pentium II 用に最適化) および -[a]xM (MMX(R) 命令セット用に最適化) は、最新のインテル C++ コンパイラではサポートされていません。これらのオプションがコンパイラのコマンドラインで指定されると、メッセージが表示され、オプションは無視されます。-[a]xi または -[a]xM オプションを使用している場合、これらのオプションの使用を中止してください。デフォルトで生成される汎用コードは、Pentium プロセッサ上でも新しい IA-32 プロセッサ上でも動作します。

-[a]xW (Pentium 4 用の低い最適化レベル) は、将来のバージョンで削除される予定です。インテル Pentium 4 プロセッサ用のコードを生成する場合は、-[a]xW のかわりに -[a]xN オプションを使用してください。

詳細は、『インテル® C++ コンパイラ・ユーザーズ・ガイド』の「最適化」のセクションを参照してください。

gcc 3.2 とのバイナリ互換

Linux 版インテル C++ コンパイラ 8.0 は、gcc 3.2 との高レベルのバイナリ互換を提供しています。

新規の -cxxlib-gcc オプションを使用すると、gcc が提供する C++ ランタイム・コンポーネントを使用してアプリケーションをビルドできます。gcc の C++ ランタイムには、libstdc++ 標準 C++ ヘッダファイル、ライブラリ、および言語サポートが含まれています。このオプションが指定された場合は、libcprts 標準 C++ ヘッダ、ライブラリ、およびインテル・コンパイラが提供する libcxa と libunwind の C++ 言語サポートの代わりに上記のコンポーネントが使用されます。

-cxxlib-gcc オプションでアプリケーションのコンパイルとリンクを行って生成された C++ オブジェクト・ファイル、ライブラリ、実行ファイルは、gcc 3.2 で生成された C++ オブジェクト・ファイル、ライブラリ、実行ファイルと相互運用が可能です。これは、インテル・コンパイラ 8.0 で生成された C++ コードが gcc 3.2 でビルドされたサードパーティの C++ ライブラリとともに使用できることを意味します。

gcc 3.2 とのソース互換

gcc で有効な事前定義済みマクロがインテル・コンパイラでも有効になりました。例えば、インテル・コンパイラでは現在、__GNUC__、__GNUC_MINOR__、および GNUC_PATCHLEVEL__ の各マクロが定義されています。これらのマクロを定義しない場合は、-no-gcc オプションを指定してください。

さらに、Linux 版インテル C++ コンパイラのこのバージョンでは、ご使用の Linux に付属の C ヘッダが使用されます (Itanium アプリケーション用の Itanium コンパイラでのみ使用される 2 つの小さな代用ヘッダを除く)。また、-ansi 言語モードを使用する場合は、-cxxlib-gcc スイッチにより、GNU* C++ ライブラリ・ヘッダがコンパイルされるようになりました。

デフォルトでは、インテル・ コンパイラ 8.1 の事前定義マクロの -D__NO_INLINE__-D__NO_STRING_INLINES を除き、gcc 3.2 で使用されているパスと同じヘッダのパス (条件付きコード) が使用されます。これらの事前定義マクロは、gcc 3.2 との相互運用性には影響がありません。

GNU C++ min/max 演算子が実装されました。詳細は、http://gcc.gnu.org/onlinedocs/gcc/Min-and-Max.html (英語) を参照してください。

新規に実装された gcc 属性は次のとおりです:

詳細は、http://gcc.gnu.org/onlinedocs/gcc-3.2/gcc/Attribute-Syntax.html (英語) を参照してください。

インテル C++ コンパイラ 8.0 には多くの gcc 組込み関数が実装されています。gcc 組込み関数に関しては、http://gcc.gnu.org/onlinedocs/gcc/Other-Builtins.html (英語) を参照してください。サポートされている gcc 組込み関数のリストは、『インテル® C++ コンパイラ・ユーザーズ・ガイド』にあります。

-ansi スイッチの更新

-ansi スイッチが更新され、同じ名前の gcc コマンドライン・オプションと互換性が保たれるようになりました。インテル・コンパイラは、-strict_ansi コマンドライン・オプションで、より厳しい ISO C および C++ へのセマンティクスの適合性をサポートします。

GNU 環境変数

プリプロセッサに影響を与える次の GNU 環境変数がサポートされます。 詳細は、http://gcc.gnu.org/onlinedocs/gcc/Environment-Variables.html (英語) を参照してください。

プリコンパイル済みヘッダ

Linux 版インテル C++ コンパイラでは、プリコンパイル済みヘッダの手動処理と自動処理がともにサポートされるようになりました。適切な状況下でこの機能を使用することにより、コンパイル時間を大幅に短縮できます。詳細は、ユーザーズ・ガイドを参照してください。

プリコンパイル済みヘッダの自動処理を行うには、コンパイル・オプションに -pch を追加します。1 回目のコンパイルでは .pchi ファイルの作成に多少時間がかかりますが、2 回目以降のコンパイルでは、作成された .pchi ファイルを利用できるため、処理速度が向上します。

> icc -c -pch file1.cpp
"file1.cpp": creating precompiled header file "file1.pchi"

> icc -c -pch file1.cpp
"file1.cpp": using precompiled header file "file1.pchi"
ディスク容量に制限がある場合、プリコンパイル済みヘッダの数を 1 つにすることができます。これを行うには、新しいヘッダファイル common.h を作成して、次の例のように重要なヘッダを含めます。

common.h:

#include "myheader1.h"
#include "myheader2.h"
#include <iostream>
各ソースファイルに common.h を含めて、その直後に #pragma hdrstopIn を含めます。

file1.cpp:

#include "common.h"
#pragma hdrstop
#include "otherheader1.h"

file2.cpp:

#include "common.h"
#pragma hdrstop
#include "otherheader2.h"
コンパイル:
> icc -c -pch file1.cpp
"file1.cpp": creating precompiled header file "file1.pchi"

> icc -c -pch file2.cpp
"file2.cpp": using precompiled header file "file1.pchi"

プリコンパイル済みヘッダは 1 つしか作成されないため、使用するディスク容量が減少し、コンパイル時間を短縮できます。

-ip オプションおよび -ipo オプションのデバッグサポートの向上

-ip オプションおよび -ipo オプションのデバッグサポートが向上しました。一部の変数の情報が利用できます (ただし、最適化の影響により、値が必ずしも正確であるとは限りません)。

新規の診断スイッチ

次の新規の診断スイッチを使用することができます。

IA-32 浮動小数点スタック・チェッカー・オプション -fpstkchk

このオプションは、FP スタックが確実に予測された状態にするためにすべての関数/ルーチンの呼び出し後に補足コードを生成します。関数呼び出しが FP 値を返す場合、戻り値は FP スタックの最上位に配置されます。戻り値が未使用の場合、コンパイラは正しい状態で FP スタックを維持するために FP スタックから値をポップします。しかし、アプリケーションがこのような関数を呼び出して、関数のプロトタイプを省略するか、関数のプロトタイプを正しく行わない場合、その関数が FP 値を返す必要があるかどうかをコンパイラが判断できず、必要な場合でも FP スタックからその値がポップされません。この結果、FP スタックが最終的にオーバーフローすることがあります。一般に、FP スタックがオーバーフローすると、NaN 値が FP 計算で用いられるため、プログラムの結果が異なるか、または他のエラーが生じることがあります。その際、エラーが生じた場所が、実際の問題の箇所とは異なっていることもあります。このオプションは、不正な呼び出しが発生した直後にアクセス違反例外を知らせるので、これらの問題をより簡単に見つけることができます。

動的にリンクされる libguide

静的にリンクされる libguide ライブラリは、デバッグすることが難しいパフォーマンス問題を引き起こす可能性があります。コンパイラは、コマンドライン・オプションに関わらず、libguide を動的にリンクします。

レジスタの関数のデバッグ・サポート

位置リストにより、より信頼性のあるオブジェクト位置のデバッグ情報が提供されます。これにより、レジスタ内の変数におけるデバッグのサポートが強化されます。

インテル・コンパイラのコード・カバレッジ・ツール

インテル・コンパイラのコード・カバレッジ・ツールは、インテル・コンパイラのプロファイルに基づく最適化テクノロジを利用して、開発者に特定のワークロードにおけるアプリケーション・コードのカバレッジの全体像を呈示します。ツールはアプリケーションのコード・カバレッジを把握するために、コンパイラにより生成された静的プロファイル情報と、ユーザのインストルメント済みバイナリをワークロードで実行した結果、生成される動的プロファイル情報を組み合わせます。カバレッジ・ツールは、この情報とアプリケーションのソースを併用して、コード・カバレッジが色付きの注釈で強調表示された HTML ページを作成します。また、アプリケーションのファイルと関数を並べ替えて、カバレッジの低いモジュールと関数を簡単に識別できるフレームを作成します。コード・カバレッジは、任意のブラウザを使用して表示できます。

インテル・コンパイラのコード・カバレッジ・ツールをさまざまな方法で活用して、開発効率を改善し、問題を減少し、アプリケーションのパフォーマンスを向上させることができます。ツールをテストスペースのアプリケーション・プロファイルに適用すると、カバレッジ情報に基づいてテストの全体の質を測定することができます。同様に、パフォーマンス・ワークロードのプロファイルに適用すると、コード・カバレッジ情報により実行されたワークロードが、アプリケーションの重要なコードをどの程度カバーするかを把握できます。インテル・コンパイラが提供するプロファイルに基づく最適化の利点を享受するには、パフォーマンス・クリティカルなモジュールの高いカバレッジが必要です。また、このツールは、アプリケーションの各基本ブロックの動的実行カウントを表示して、カバレッジとパフォーマンス・チューニングの両方に有用な情報を示すオプションを提供します。カバレッジ・ツールは、アプリケーションの 2 つの異なる実行におけるプロファイルを比較できます。この機能は、アプリケーションがカスタマなどによってテストスペース外で実行される場合、アプリケーションのテストでカバーされないアプリケーションのコードの部分を検索するのに使用することができます。

インテル・コンパイラのコード・カバレッジ・ツールは、Windows/Linux 上のインテル・アーキテクチャ 32 ビット・プロセッサ・ファミリおよび Itanium プロセッサ・ファミリでサポートされます。また、C、C++、および Fortran をシームレスにサポートします。

インテル・コンパイラのテスト・プライオリタイゼーション・ツール

テスト・プライオリタイゼーション・ツールは、インテル・コンパイラのプロファイルに基づく最適化テクノロジを利用して、以前のアプリケーションの実行プロファイルを基に、アプリケーションのテストの選択と重要度付けを行います。ユーザは、このツールを使用して、アプリケーションのコードのサブセットに対してより適切なテストを選択し、重要度付けを行うことができます。アプリケーションの特定のモジュールが変更されると、テスト・プライオリタイゼーション・ツールはそのセットの変更によって最も影響を受けるテストを示唆します。また、以前に実行されたアプリケーションのプロファイル・データを分析して、アプリケーションのコンポーネントとテストの依存性を確認し、この情報を基にテストのプロセスをガイドします。このツールは、アプリケーションのコード・カバレッジを基に、効率的なテスト階層を作成するのに使用できます。例えば、テストの全体をカバーするアプリケーション・テストの最小サブセットを定義します。また、テストのターンアラウンド時間を大幅に短縮します。長い時間を費やして多くの失敗を見つける代わりに、ユーザは、セットの変更によって問題が発生する少数のテストをすばやく見つけられます。このツールはまた、テストがボトルネックとなる大規模なアプリケーションのテストと開発に要する時間を大幅に短縮するのに役立ちます。アプリケーションの任意のサブセットで全体をカバーするために必要なテストの数を最小限にし、さらに、テストの実行時間が決まっている場合は、特定のレベルのコード・カバレッジを最小限の時間で達成するテストを選択して重要度付けを行うことができます。

インテル・コンパイラのテスト・プライオリタイゼーション・ツールは、Windows/Linux 上のインテル・アーキテクチャ 32 ビット・プロセッサ・ファミリおよび Itanium プロセッサ・ファミリでサポートされます。また、C、C++、および Fortran をシームレスにサポートします。

詳細に関しては、次のリンクを参照してください: http://www.intel.com/software/products/compilers/techtopics/pgt.htm (英語)

プロシージャ間の最適化 (IPO) におけるバージョン番号付きの中間ファイル (.il)

IPO で生成された各 .il ファイルには、バージョン番号が割り当てられます。コンパイラは、同じバージョンの .il ファイルのみを処理します。バージョン番号はビルド処理の一部として、自動的に生成され、更新されます。

高速メモリ Copy ルーチン

コマンドラインで -nostdlib を指定した場合やインテル C++ コンパイラのドライバからではなく、直接リンカを呼び出したことにより、標準のインテル・ライブラリに対してリンクが行われない場合の問題について次に説明します。

インテル C++ コンパイラは、_intel_fast_memcpy_intel_fast_memset の 2 つのルーチンを使用して、ソースコードでは __builtin_memcpy__builtin_memset にマクロ展開されていない memcpy 演算と memset 演算を行います。これらは、libirc にあります。gcc コンパイラを使用してアプリケーションをリンクしたり、リンカ ld を直接呼び出すと、これらの 2 つのルーチンが未解決のシンボルになります。このため、コンパイル・フェーズで使用したコンパイラ・オプションと同じものを使用して、インテル C++ コンパイラでリンクすることを推奨します。ただし、これらのルーチンを未定義の外部参照とみなす場合は、-lirc をリンク行に追加するか、または memcpy および memset が組込み形式にマクロ展開されるようにインクルードを変更して、再コンパイルします。IA-32 ベース・アプリケーション用インテル C++ コンパイラは、任意のプログラムのメインルーチンから intel_proc_init ルーチンを呼び出し、プロセッサが正しく設定されるようにします。また、このルーチンは libirc にも含まれています。これらのルーチンは glibc からのエントリポイントを使用するので、コマンドラインでは -lirc-lc の前に配置する必要があります。

読み取り専用データの動作変更

IA-32 コンパイラのバージョン 7.1 では、すべての定数と文字列リテラルを書き込み可能なデータ・セクションに配置していました。バージョン 8.0 では、デフォルト動作は gcc の動作と一致するように変更されました。const データは読み込み専用データ・セクションに配置され、文字列リテラルも同様に読み込み専用セクションに配置されます。以前の動作に依存しているアプリケーションでは、バージョン 8.0 で追加された -fwritable-strings コンパイラ・オプションを使用する必要があります。

Itanium コンパイラのバージョン 7.1 では、すべての次元定数と文字列リテラルを書き込み可能なデータ・セクションに配置していました。バージョン 8.0 では、デフォルト動作は gcc の動作と一致するように変更されました。次元 const データは読み取り専用データ・セクションに配置され、文字列リテラルも読み込み専用セクションにデフォルトで配置されます。以前の動作に依存しているアプリケーションでは、バージョン 8.0 で追加された -fwritable-strings コンパイラ・オプションを使用する必要があります。

-fwritable-strings オプションは、文字列リテラルを書き込み可能なデータ・セクションに配置する、gcc と互換性があるオプションです。これは、文字列への書き込みを前提とするアプリケーションの下位互換のために提供されています。

動作環境

IA-32 プロセッサの動作環境

Itanium プロセッサの動作環境

共有ライブラリを使用する際は binutils 2.14 以降を使用してください (binutils 2.11 には問題があることが報告されています)。

注: 数千行にも及ぶ非常にサイズの大きいソース・ファイルを、高度な最適化オプション (-O3、-ipo-openmp など) をつけてコンパイルする際は、さらに大容量の RAM が必要となります。

インストール

以前のバージョンのコンパイラを使用している場合は、インテル C++ コンパイラ 8.1 をインストールする前に、以前のコンパイラをアンインストールする必要があります。アンインストールに関しては、「コンパイラとデバッガのアンインストール」 を参照してください。

インテル C++ コンパイラのインストール・スクリプトは、システム・ユーティリティ RPM を使用してファイルをインストールします。RPM 4.0.2 および RPM 4.1 の両方に制限があるので注意してください。詳細は「既知の制限事項」を参照してください。

ライセンスのインストール

インテル C++ コンパイラは、Macrovision 社の FLEXlm* 電子ライセンス・テクノロジを使用しています。ライセンスの管理は透過的に行われます。インテル C++ コンパイラ 8.1 のインストール・プログラムは、製品コンポーネントをインストールする前に有効なライセンスをチェックします。また、プログラムのコンパイル時とビルド時にもライセンス・ファイルのチェックを行います。

インテル・ソフトウェア用の FLEXlm ライセンス・デーモンは、フローティング・ライセンスおよびノードロック・ライセンスで使用され、多くの一般的なプラットフォームで利用できます。ライセンス・デーモンは、ローカル・ネットワーク上のアクセス可能な任意のサポートされているプラットフォーム上にインストールされます。コンパイラ CD には、さまざまな Linux ディストリビューション用のライセンス・デーモンが含まれています。CD をお持ちでない場合、または別のプラットフォーム用のライセンス・デーモンが必要な場合は、インテル・プレミア・サポート (英語) の [Downloards] セクションからライセンス・デーモンをダウンロードしてください。

注: サポート・サービスの有効期間内であれば、Linux 版インテル C++ コンパイラの既存のライセンスをバージョン 8.1 でもそのまま使用できます。

インストール前に、以下の手順に従ってライセンス・ファイルをセットアップしてください。

サポート・サービス・ライセンスの詳細は、http://www.intel.com/software/products/compilers/clin/pricelist.htm (英語) を参照してください。

インテル C++ コンパイラのインストール

次の手順に従ってコンパイラをインストールします。
  1. コンパイラ・パッケージをダウンロードします。
  2. 書き込み権限があるディレクトリでコンパイラ・パッケージを解凍 (untar) します。
    > tar -xvf l_cc_p[c]_8.1.xxx.tar
    または
    > tar -zxvf l_cc_p[c]_8.1.xxx.tar.gz
  3. インストール・スクリプトを実行します。
    rpm コマンドを実行するために、root ユーザ でログインします。そして、解凍されたファイルが抽出されたディレクトリでインストール・スクリプトを実行します。
    > source ./install.sh
    root アカウントでログインできない場合は、rpm2cpio を使用して RPM ファイルを手動で解凍し、iccvars.sh (.csh) ファイルを編集してコンパイラのインストール先ディレクトリを含めると、root 権限なしでもコンパイラをインストールできます。インストール・スクリプトでは、この手順を自動的に行います。
  4. ライセンス・ファイルのディレクトリを入力します。
    これは上記でライセンス・ファイル (*.lic) を保存したディレクトリです。インストール・プログラムは、Linux コンポーネントのインテル C++ コンパイラをインストールする前に、有効なライセンスをチェックします。
  5. ライセンスのチェック終了後、インストール・プログラムは既にインストールされているインテルのソフトウェア製品と次のインストール・メニュー項目を表示します。
  6. インストールするパッケージを選択します。すべての製品を使用するために必要なパッケージがインストールされます。RPM パッケージが既にインストールされている場合、インストール・スクリプトはこれを報告し、既存のインストールを上書きするかどうか確認します。既存のファイルを更新するには、デフォルトの RPM オプション -U --replacefiles --force を使用することを推奨します。デフォルトのインストール・ディレクトリは、インテル C++ コンパイラでは /opt/intel_cc_80/、インテル・デバッガでは /opt/intel_idb_80/ です。
  7. インストールが完了すると、インストールされたインテル・パッケージ、それからインストール・メニューが再度表示されます。'x' を入力してインストール・スクリプトを終了します。

注: コンパイラをインストールすると、Eclipse 統合コンポーネントもインストールされます (Eclipse パッケージを選択した場合)。Eclipse のみをインストールすることはできません。これらのコンポーネントは、<install_dir>/eclipse/features および <install_dir>/eclipse/plugins にインストールされます。このため、コンパイラのインストール中に Eclipse の使用許諾契約に同意するかどうかを確認するメッセージも表示されます。

コンパイラ環境の設定

Linux 版インテル C++ コンパイラ 8.1 のプログラムは、環境変数 PATH および LD_LIBRARY_PATH に依存します。インストール・スクリプト (install.sh) は、これらの変数を設定するコンパイラ環境スクリプト・ファイル (iccvars.sh/ idbvars.sh) を作成します。これらのスクリプト・ファイルをログイン・スクリプト (.login ファイル) に追加することを強く推奨します。".login" ファイルで一旦、変数が設定されれば、セッションごとにスクリプト・ファイルを実行する必要がなくなります。

コンパイラ環境を設定するスクリプトの実行

また、インストール・プログラムにより、すべてのコンパイル処理に共通の設定を含むコンパイラ設定ファイル (<install-dir>/bin/icc.cfg) が IA32 システムまたは Itanium ベース・システム上に作成されます。これらのファイルを編集して、デフォルトのオプションを追加することができます。注: コンパイラのアップデート・パッケージをインストールする場合は、変更した設定ファイルを別のファイル名で保存し、ファイルが上書きされないようにする必要があります。

製品のインストールが完了したら、サポートへ登録してください。登録方法については、「テクニカル・サポート」を参照してください。

コンパイラとデバッガのアンインストール

下記の手順に従ってインテル・コンパイラとインテル・デバッガをアンインストールします。
  1. root ユーザ権限でログインします。
  2. コンパイラをアンインストールする場合は次のファイルを使用します:
    <compiler-install-dir>/bin/uninstall.sh
    コンパイラをデフォルトのディレクトリにインストールした場合は、次のようになります。
    /opt/intel_cc_80/bin/uninstall.sh
  3. デバッガをアンインストールするには次のように指定します。
    <debugger-install-dir>/bin/uninstall.sh
    デバッガをデフォルトのディレクトリにインストールした場合は、次のようになります。
    /opt/intel_idb_80/bin/uninstall.sh

既知の制限事項

RPM 4.0.2 および RPM 4.1 インストール時のエラーについて

RPM 4.0.2 はデフォルト以外のディレクトリにはインストールできません。この問題は RPM 4.0.3 で修正されています。また、RPM 4.1 もデフォルト以外のディレクトリにはインストールできません。この問題は RPM 4.11 から 4.2 で修正されています。

インテル・デバッガのインストールについて

インテル C++ コンパイラ 8.1 パッケージから IA-32 または Itanium ベース・アプリケーション用インテル・デバッガのバージョン 8.1 をインストールする場合、既にインストールされているインテル・デバッガのバージョン 7.1、7.2 または 7.3 は、8.1 にアップグレードされます。

OpenMP の制限事項

大きなサイズのスタックを必要とする POSIX スレッドのプログラムの場合、一部の Linux のバージョンでは正常に動作しないことがあります。これは、Linux の POSIX スレッド・ライブラリのバージョンによっては、ハードコード化されたスタックサイズに制限があるためです。インテル・コンパイラでは POSIX スレッド・ライブラリを使用して OpenMP ベースおよび自動生成による並列化を実装しているため、上記の制約は OpenMP プログラム (-openmp)、およびインテル・コンパイラで自動生成された並列プログラム (-parallel) にも適用されます。通常、スタックの容量制限を超過したスレッド・プログラムを実行すると、セグメンテーション違反またはアドレシング・エラーが発生します。

この制約を回避するには、FLOATING_STACKS パラメータが定義されている glibc のバージョンを使用するようにしてください。いくつかのディストリビューションでは、これは pthreads ライブラリのスタティック・バージョンではなく、共用バージョンを使用することを意味します。そして、ulimit -s または limit stacksize コマンドを実行して、最大シェル・スタック・サイズを (unlimited ではない) 十分な大きさの値 (単位:KB) に設定し、さらに環境変数 KMP_STACKSIZE を必要なスレッド・スタック・サイズ (単位:バイト) に設定してください。bash シェルでは、ulimit -s コマンドを使用して最大スタックサイズを設定できるのは 1 回のみであることに注意してください。C シェル (csh) では、limit stacksize を使用することで、最大スタックサイズを何回でもリセットできます。

上記の回避方法は RedHat 7.2 Linux ディストリビューションの glibc バージョン 2.2.4-13 (IA-32 版) および glibc 2.2.4-19 (Itanium プロセッサ・ファミリ版) で検証済みです。IA-32 版の glibc 2.2.4-13 に関しては、POSIX スレッド・ライブラリの共用バージョンを必ず使用してください (コンパイラの .cfg ファイル、またはコマンドラインで -static フラグを使用しないでください)。

-g とインライン化を組み合わせた場合のコンパイル時間の増加

-g をインライン化と組み合わせて使用すると、コンパイル時間が長くなります。-ipo、-ip を指定した場合や -O1 以上のオプション・レベルで C++/C99 プロブラムをコンパイルする場合、インライン化が発生します。これはデバッグ情報が生成されるためです。多くのアプリケーションでは、このコンパイラ・オプションの組み合わせは、コンパイル時間またはコンパイル時のメモリ容量を増加させません。

GNU asm エイリアス

-use_msasm コンパイル・フラグが設定されている場合、GNU asm エイリアスは __asm__ キーワードを使用した場合にのみ正常に動作します。__asm または asm キーワードを使用した場合は正常に動作しません。

複数のオブジェクト・ファイル IPO に関連する問題

次の問題は、将来のバージョンで解決される予定です。

 
-qipo_separatexild で認識されない

-qipo_separate オプションは xild で認識されません。これは、このオプションを使用した IPO コンパイルが失敗するためです。

-ipo オプションで指定した .o および .s ファイルの明示的な名前が無視される

ipo_c または -ipo_S (.o または .s ファイルの名前を明示的に指定する) オプションを使用してファイル名を明示的に指定した場合、コンパイラは複数のオブジェクトを生成するときにこれらの指定を無視します。

-ipo_S で生成された s ファイルが複数オブジェクト IPO でアセンブルできない

2 つの問題があります。

自動 CPU ディスパッチ (-ax*) 使用時のデバッグ情報の制限

-ax{W|N|B|P} を使用してコンパイルを行うと、各関数について IA-32 ジェネリック・コードと CPU 特有のコードの 2 種類のコードが生成されます。各関数のシンボルは自動 CPU ディスパッチ・ルーチンを参照して、ランタイムに実行するコード・セクションを決定します。これらの関数にデバッガのブレークポイントが名前でセットされると、ディスパッチ・ルーチンでアプリケーションが停止します。その結果、デバッグ時に予測できない動作が発生します。この問題は、インテル・デバッガおよびインテル・コンパイラの将来のバージョンで修正される予定です。

-fp オプションを使用しないでビルドされた IA-32 プログラムをデバッグまたはトレースバック表示できない

-fp を使用してコンパイルを行うと、IA-32 EBP レジスタは汎用レジスタではなくフレーム・ポインタとして使用されます。デバッガおよびトレースバック・ハンドラは、-fp を使用しないでコンパイルされた関数への呼び出しを含むスタックから適切にスタックを戻すことができません。-g または -O0 を使用してコンパイルすると、-fp は暗黙的に有効になりますが、より高い最適化レベル (-O2 など) を明示的に指定した場合は有効になりません。アプリケーションでデバッガまたはトレースバックを使用する場合で、-O0 よりも高い最適化レベルを使用する場合は、デバッガおよびトレースバック・ハンドラがフレーム・ポインタを使用できるように、-fp も指定してください。

GNU* アセンブラが -xP オプションを使用して生成されたコードを認識しない

GNU アセンブラの古いバージョンは、-[a]xP オプションを使用して生成されたアセンブリ・コードを処理できません。この問題が発生した場合は、binutils バージョン 2.14.90.0.4.1 以降、または FSFbinutils 2.15 以降を使用してください。

古い gdb デバッガとインテル・コンパイラ

Linux 版インテル・コンパイラは、Dwarf2 の高度な機能 (クラス内でネストされた宣言など) を含む、Dwarf2 形式のデバッグ情報を生成します。バージョン 5.3.90-* のような、古い gdb デバッガは、これらの Dwarf 機能を正しく処理できないことがあります。C++ の表現をフルに使用するソース・コードを正しく処理するためには、gdb のバージョン 6.1 以降を使用してください。

その他の情報

最新バージョンのインテル C++ コンパイラに関する既知の制限事項および注意事項については、以下のリンク先を参照してください。

テクニカル・サポート

インテルでは、お客様からのフィードバックを非常に重視しております。本製品で提供されるツールについてのテクニカル・サポートおよび FAQ や製品のアップデート情報を含むテクニカル情報を受けるには、https://premier.intel.com (英語) でインテル(R) プレミア・サポート・アカウントに登録してください。http://support.intel.com/support/performancetools/support.htm (英語) で [Registration Center] をクリックして登録します。

インテル C++ コンパイラのユーザ・フォーラム、FAQ、ヒント、およびその他のサポート情報は、http://support.intel.com/support/performancetools/c/linux/ (英語) を参照してください。サポート情報全般については、http://www.intel.com/software/products/support/ (英語) を参照してください。

問題の送信方法

問題を送信する手順は次のとおりです。

  1. https://premier.intel.com/ (英語) にアクセスします。
  2. ログイン名とパスワードを入力します。どちらも大文字と小文字が区別されます。
  3. [Submit] ボタンをクリックします。
  4. 「Confidentiality Statement (機密保護について)」を読み、[I Accept] ボタンを押します。
  5. [Product] ドロップダウン・リストの隣の [Go] ボタンをクリックします。
  6. 左側のナビゲーション・バーの [Submit Issue] リンクをクリックします。
  7. [Product Type] ドロップダウン・リストから [Development Environment (tools,SDV,EAP)] を選択します。
  8. ソフトウェアまたはライセンスに関する問題の場合は、[Product Name] ドロップダウン・リストから [Intel C++ Compiler, Linux*] を選択します。
  9. 質問を入力します。ウィンドウの残りのフィールドも記入して、問題箇所の送信を完了します。

問題の報告および製品に関するご意見を送信される際のガイドライン

  1. 問題、その他ご意見を入力してください。
    問題の報告の場合は、その問題を再現できるように、できるだけ具体的に説明してください。コンパイラの問題報告の場合は、できるだけコンパイラ・オプションと簡単なテストコードを追加してください。
  2. システム構成情報を入力します。
    次のコマンドを使用して glibc とカーネルのバージョンを調べます。
        > uname -a
        > rpm -qa | grep glibc
    rpm をインストールしている場合は、下記のコマンドを実行します。
        > ls /lib/libc*
    プレミア・サポートの適切なフィールドに、表示された情報をコピーします。

    下記のコマンドで、インテル C++ コンパイラのパッケージ ID を取得します。
        > icc -V
    出力された [Package ID] (例:.l_cc_p[c]_8.1.xxx) をプレミア・サポートの適切なフィールドにコピーします。また、問題の解決に役立つと思われる事項はすべてお伝えください。

  3. コンパイラをインストールできない場合、またはパッケージ ID を取得できない場合は、ダウンロードしたファイル名をパッケージ ID として入力してください。

解決済みの問題

コンパイラの最新バージョンで修正された問題点については、インテル・プレミア・サポート (英語) からダウンロードできる <パッケージ ID>_README (例: l_cc_p[c]_8.1.xxx_README) を参照してください。

ドキュメント

インテル・コンパイラのドキュメントおよび HTML ベースの関連ドキュメントは、ナビゲーション、インデックス検索、およびハイパーテキスト機能を備えており、ご使用の Web ブラウザでご覧になれます。また、PDF 版のドキュメントも提供しており、簡単に印刷することができます。

ドキュメントは、<install_dir>/doc (デフォルト: /opt/intel_cc_80/doc) ディレクトリにインストールされます。HTML 版のドキュメント・インデックスは、<install_dir>/doc/ccompindex.htm (デフォルト: /opt/intel_cc_80/doc/ccompindex.htm) です。インタラクティブ形式 (HTML ベース) のトレーニング・チュートリアル、『Enhancing Performance with Intel Compilers』(英語) もドキュメント・インデックスのリンクからアクセスできます。このチュートリアルでは、IA-32 および Itanium ベース・システムにおけるアプリケーションの最適化に役立つコンパイラ・オプションと Itanium アセンブラについて説明します。『Intel® Debugger Manual』(英語) は、インテル・デバッガの doc ディレクトリにあります (デフォルトのディレクトリは、/opt/intel_idb_xx/doc です。xx: は、"idb -V" を実行すると表示される、idb のバージョン番号です)。

『インテル(R) C++ コンパイラ・ユーザーズ・ガイド』は、次のように複数のドキュメントで構成されています。

GNU glibc C 言語ライブラリについての情報は、Linux OS のベンダ、または GNU の Web サイト www.gnu.org でドキュメントを入手してください。

Manpage の表示

icc(1) manpage では、コマンドライン・オプションおよび iccicpc コンパイラ・コマンドに関する情報のリストが提供されています。icc(1) manpage を表示するには、S<install_dir>/bin/iccvars.*sh ファイルを実行する source コマンドを使用して環境を設定してから、次のコマンドを入力してください。
$ man icc
man コマンドは、表示された内容のスクロール、文字列の検索、特定の場所へのジャンプ、その他の機能を実行する単一キーまたはキーの組み合わせを提供します。例えば、z を入力すると次の画面、w を入力すると前の画面を表示します。man コマンドのヘルプを表示するには、h キーを入力します。ヘルプを閉じるには、q キーを入力して、表示されている manpage に戻ります。検索するには、/ 文字を入力してから検索する文字列 (/string) を入力して、Enter を押します。man コマンドのテキストの表示後、q を押してシェル・コマンドのプロンプトに戻ります。

HTML ドキュメントの表示

HTML 形式のユーザーズ・ガイドを表示する際、以前のように Java* が有効であるブラウザを使用する必要がなくなりました。このドキュメント形式は、標準 Red Hat* ディストリビューションに付属している Web ブラウザで使用できることが確認されています。HTML 形式のユーザーズ・ガイドは Java サポートを必要とせず、さらにブラウザに依存しないようにするため、検索機能が削除されました。ユーザーズ・ガイドで検索を行う必要がある場合は、提供されている PDF 形式のファイル (HTML 形式と同じ内容) を xpdf ビューアで使用してください。ユーザーズ・ガイドの [キーワード] タブは、左ペインの幅を広げてキーワードのエントリが折り重ならないように表示すると効果的です。

PDF ドキュメントの表示

PDF 形式のファイルを表示するには、xpdf ユーティリティ (検索機能を含む) を使用するか、gv または ghostview コマンドを使用します。いくつかの Linux ディストリビューションでは、mozilla を使用すると PDF helper を使用して PDF ファイルが表示されます。

追加情報

関連製品とサービス

インテル・ソフトウェア開発製品の詳しい情報については、http://www.intel.co.jp/jp/developer/software/products/ を参照してください。

関連製品の一部を次にリストします。

著作権と商標について

本資料に掲載されている製品のうち、外国為替および外国為替管理法に定める戦略物資等または役務に該当するものについては、輸出または再輸出する場合、同法に基づく日本政府の輸出許可が必要です。また、米国産品である当社製品は日本からの輸出または 再輸出に際し、原則として米国政府の事前許可が必要です。

【資料内容に関する注意事項】

本ドキュメントの内容を予告なしに変更することがあります。

インテルでは、この資料に掲載された内容について、市販製品に使用した場合の保証あるいは特別な目的に合うことの保証等は、いかなる場合についてもいたしかねます。また、このドキュメント内の誤りについても責任を負いかねる場合があります。

インテルでは、インテル製品の内部回路以外の使用にて責任を負いません。また、外部回路の特許についても関知いたしません。

本書の情報はインテル製品を使用できるようにする目的でのみ記載されています。

インテルは、製品について「取引条件」で提示されている場合を除き、インテル製品の販売や使用に関して、いかなる特許または著作権の侵害をも含み、あらゆる責任を負わないものとします。

本書に含まれている内容は、出荷時の内容を正確に著すよう記述されていますが、製品の不具合の発見とその改良に伴い、製品および本書の内容は予告なく変更される場合があります。現在報告されているソフトウェアの不具合につきましては、お問い合わせください。

いかなる形および方法によっても、インテルの文書による許可なく、この資料の一部またはすべてを複写することは禁じられています。

著作権法で許可されている場合を除き、文書による事前の許可なく、複製、改変、または翻訳することを禁じます。無断転載を禁じます。

版権制限:米国政府による使用、複製、または開示は、DFARS 252-227-7013 の条項「Rights in Technical Data and Computer Software」の副項 (c)(I)(ii) に規定されている制限を受けます。

非 DOD U.S. Government Departments and Agencies の権利は、FAR 52.227-19(c0(1,2) に規定されています。

Intel、インテル、Itanium、MMX、Pentium、および VTune は、アメリカ合衆国およびその他の国における Intel Corporation またはその子会社の商標または登録商標です。

* その他の名称およびブランド名は、各社の商標および登録商標です。

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