インテル(R) C++ コンパイラ 8.1
(インテル(R) エクステンデッド・メモリ 64 テクノロジ Linux* 版)
リリースノート

目次

概要
新規機能と変更された機能
動作環境
インストール
既知の制限事項
テクニカル・サポート
ドキュメント
追加情報
著作権と商標について

概要

このアドオン・パッケージは、インテル(R) エクステンデッド・メモリ 64 テクノロジ (インテル(R) EM64T) 対応のインテル(R) プロセッサ上で高速に動作するアプリケーションを作成する Linux* ソフトウェア開発者用のツールを提供します。プロシージャ間の最適化 (IPO) やプロファイルに基づく最適化 (PGO) によってアプリケーションのパフォーマンスを大きく向上させます。また、OpenMP* に対応し、自動並列化機能も備えるなど、マルチスレッド・コードの開発もサポートしています。

このアドオン・パッケージには、インテル(R) C++ コンパイラ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) が含まれています。このパッケージをインストールするには、Linux 版インテル C++ コンパイラ用の、現在有効なライセンスが必要です。

このパッケージに含まれているコンパイラは、Linux オペレーティング・システム上で動作し、インテル EM64T 用の実行ファイルを生成します。

インテル(R) デバッガは、インテル EM64T 対応プロセッサ上でコマンドラインまたは GUI を使用してアプリケーションをデバッグすることができます。

本リリースノートでは、IA-32 Linux コンパイラ用の補足情報と、インテル EM64T コンパイラ特有の詳細な情報を提供します。IA-32 コンパイラ用の情報は、IA-32 コンパイラのリリースノートを参照してください。

製品の内容

この製品には以下のコンポーネントが含まれています。

新規機能および変更された機能

本リリースは、インテル EM64T に対応したコンパイラの最初のリリースです。このセクションでは、IA-32 コンパイラとの違いについて説明します。IA-32 コンパイラ用の情報は、IA-32 コンパイラのリリースノートを参照してください。

Long およびポインタのサイズが 64 ビット

Linux 環境では、インテル EM64T 対応アプリケーションの C/C++ long のデフォルト・サイズとポインタの型はどちらも 64 ビットです。これは Linux 上の Itanium(R) ベース・アプリケーションと同じですが、ポインタが 64 ビットで long が 32 ビットの、IA-32 アプリケーション用コンパイラや Windows* 環境用のインテル EM64T とは異なります。マルチプラットフォーム用のアプリケーションを開発している場合は、これらの違いについて注意する必要があります。

Small、Medium、および Large メモリモデル

インテル EM64T 対応のアプリケーションを構築するには、次の 3 つのメモリモデルのいずれかを使用します。

Small (デフォルト)
コードとアドレスはアドレス空間の最初の 4GB までに制限されます。
Medium (-mcmodel=medium)
コードはアドレス空間の最初の 4GB までに制限されますが、データは制限されません。
Large (-mcmodel=large)
コードもアドレスも制限されません。

共有オブジェクト (.so) が構築された場合、位置独立コード (PIC) が指定される (コンパイラ・ドライバによって -fpic が追加される) ため、単一の .so で 3 つのメモリモデルすべてをサポートすることができます。しかし、スタティック・ライブラリに配置されるコード、または静的にリンクされるコードは適切なメモリモデルを指定して構築する必要があります。Medium または Large メモリモデルを指定すると、パフォーマンスに影響がある点に注意してください。

-fno-exceptions のサポート

–fno-exceptions オプションは例外処理テーブルの生成をオフにするため、生成されるコードはより小さくなります。try ブロック、例外処理仕様、throw 文のような構造化例外処理を使用するとエラーになります。

このオプションが使用されない場合、プリプロセッサ・シンボル __EXCEPTIONS が定義されます。このオプションが使用された場合は定義されません。

-auto_ilp32 のサポート

-[a]xP オプションと同時に指定された場合、インテル EM64T システムで -auto_ilp32 スイッチがサポートされます。このスイッチは、アプリケーションが 32 ビットのアドレス空間を超えることができないことを指示します。

プロセッサ固有オプションの -[a]xW および -[a]xP への制限

インテル EM64T では、-ax および -x スイッチでサポートされるプロセッサの種類は W および P のみです。KB および N はサポートされません。

動作環境

最小ハードウェア要件

最小ソフトウェア要件

インストールに関する注意事項

以前のバージョンのコンパイラを使用している場合は、インテル C++ コンパイラ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) をインストールする前に、以前のバージョンをアンインストールする必要があります。アンインストールに関しては、「コンパイラとデバッガのアンインストール」 を参照してください。

インテル C++ コンパイラ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) のインストール・スクリプトは、システム・ユーティリティ RPM を使用してファイルをインストールします。RPM 4.0.2 および RPM 4.1 の両方に制限があるので注意してください。詳細は「既知の制限事項」を参照してください。

ライセンスのインストール

インテル C++ コンパイラ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) は、Macrovision 社の FLEXlm* 電子ライセンス・テクノロジを使用しています。ライセンスの管理は透過的に行われます。インテル C++ コンパイラ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) のインストール・プログラムは、製品コンポーネントをインストールする前に有効なライセンスをチェックします。また、プログラムのコンパイル時とビルド時にもライセンス・ファイルのチェックを行います。

インテル C++ コンパイラ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) をインストールするには、Linux 版インテル C++ コンパイラ用の、現在有効なライセンスが必要です。使用できる Software Component Names (ソフトウェア・コンポーネント名) は CComp および CCompL です。ライセンスの種類は、アカデミックおよび非商用以外でなければなりません。

ライセンスは、有効期限内 (Product Expiration Date が無期限または期限切れになっていない) 場合でサポートサービス期間が終了していない (Intel Support Expiration Date がコンパイラのリリース日よりも後) 場合に有効です。用語の定義など、その他の情報は、『インテル® FLEXlm* ライセンス・マネージャの使用』マニュアルを参照してください。

インテル C++ コンパイラ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) はダウンロードでのみ提供されます。ライセンス・キーは電子メールで送られます。ライセンス・ファイルは拡張子 .lic のテキストファイルとして、コンパイラが検索可能な場所に保存する必要があります。コンパイラは、以下の場所からライセンスを検索します。

上記のすべての場所で有効なライセンス・ファイルが検索されます。/opt/intel/licenses/ ディレクトリ、または INTEL_LICENSE_FILE で指定されるディレクトリのいずれかにライセンス・ファイルを配置することを推奨します。

カウント式ライセンスの場合、ローカル・ネットワーク上のサポートされているシステム上に Intel(R) Software License Manager for FLEXlm をインストールして、INTEL_LICENSE_FILE がその場所を指すようにする必要があります。ライセンス・マネージャのインストールおよび設定方法は、『インテル® FLEXlm* ライセンス・マネージャの使用』マニュアルを参照してください。

サポート・サービス・ライセンスの詳細は、http://www.intel.com/software/products/compilers/clin/pricelist.htm (英語) を参照してください。

インテル C++ コンパイラ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) のインストール

次の手順に従ってコンパイラをインストールします。
  1. コンパイラ・パッケージをダウンロードします。
  2. 書き込み権限があるディレクトリでパッケージを解凍 (untar) します。
    > tar -xvf l_cce_p[c]_8.1.xxx.tar
    または
    > tar -zxvf l_cce_p[c]_8.1.xxx.tar.gz
  3. インストール・スクリプトを実行します。
    rpm コマンドを実行するために、root ユーザ でログインします。そして、解凍されたファイルが抽出されたディレクトリでインストール・スクリプトを実行します。
    > source ./install.sh
    root アカウントでログインできない場合は、rpm2cpio を使用して RPM ファイルを手動で解凍し、iccvars.sh (.csh) ファイルを編集してコンパイラのインストール先ディレクトリを含めると、root 権限なしでもコンパイラをインストールできます。インストール・スクリプトでは、この手順を自動的に行います。
  4. ライセンス・ファイルのディレクトリを入力します。
    これは上記でライセンス・ファイル (*.lic) を保存したディレクトリです。インストール・プログラムは、インテル C++ コンパイラ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) のコンポーネントをインストールする前に、有効なライセンスをチェックします。次に、インストール・プログラムはライセンス・ファイルを /opt/intel_cce_80/licenses にコピーします。
  5. ライセンスのチェック終了後、インストール・プログラムは既にインストールされているインテルのソフトウェア製品と次のインストール・メニュー項目を表示します。
  6. インストールするパッケージを選択します。すべての製品を使用するために必要なパッケージがインストールされます。RPM パッケージが既にインストールされている場合は、インストール・スクリプトはこれを報告し、インストールが完了しなかったことを示します。その後、次の RPM パッケージのインストールを続行します。既存のファイルを更新するには、デフォルトの RPM オプション -U --replacefiles を使用することを推奨します。デフォルトのインストール・ディレクトリは、インテル C++ コンパイラ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) では /opt/intel_cce_80/、インテル・デバッガ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) では /opt/intel_idbe_80/ です。
  7. インストールが完了すると、インストールされたインテル・パッケージ、それからインストール・メニューが再度表示されます。'x' を入力してインストール・スクリプトを終了します。

コンパイラ環境の設定

インテル C++ コンパイラ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) のプログラムは、環境変数 PATH および LD_LIBRARY_PATH に依存します。インストール・スクリプト (install.sh) は、これらの変数を設定するコンパイラ環境スクリプト・ファイル (iccvars.sh/ idbvars.sh) を作成します。これらのスクリプト・ファイルをログイン・スクリプト (.login ファイル) に追加することを強く推奨します。".login" ファイルで一旦、変数が設定されれば、セッションごとにスクリプト・ファイルを実行する必要がなくなります。

コンパイラ環境を設定するスクリプトの実行

また、インストール・プログラムにより、すべてのコンパイル処理に共通の設定を含むコンパイラ設定ファイル (<インストール先ディレクトリ>/bin/icc.cfg) が作成されます。これらのファイルを編集して、デフォルトのオプションを追加することができます。注: コンパイラのアップデート・パッケージをインストールする場合は、変更した設定ファイルを別のファイル名で保存し、ファイルが上書きされないようにする必要があります。

製品のインストールが完了したら、サポートへ登録してください。登録方法については、「テクニカル・サポート」を参照してください。

コンパイラとデバッガのアンインストール

インテル C++ コンパイラ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) およびインテル・デバッガ 8.1 (インテル EM64T Linux 版) をアンインストールするには、下記の手順に従ってください。
  1. root ユーザ権限でログインします。
  2. コンパイラをアンインストールするには次のように指定します。
    <compiler-install-dir>/bin/uninstall.sh
    コンパイラをデフォルトのディレクトリにインストールした場合は、次のようになります。
    /opt/intel_cce_80/bin/uninstall.sh
  3. デバッガをアンインストールするには次のように指定します。
    <debugger-install-dir>/bin/uninstall.sh
    デバッガをデフォルトのディレクトリにインストールした場合は、次のようになります。
    /opt/intel_idbe_80/bin/uninstall.sh

既知の制限事項

FLEXlm ライセンス・デーモン

FLEXlm ライセンス・デーモンは、インテル EM64T システムでは現在サポートされていません。このデーモンはフローティング・ライセンスを使用している場合のみ必要で、この場合は、サポートされる他のオペレーティング・システムで動作するシステムにライセンス・サーバをインストールしなければなりません。サーバを必要としないシングル・ユーザ・ライセンスを使用している場合は、影響ありません。

その他の情報

最新バージョンのコンパイラに関する既知の制限事項および注意事項については、以下のリンク先を参照してください。

テクニカル・サポート

インテルでは、お客様からのフィードバックを非常に重視しております。本製品で提供されるツールについてのテクニカル・サポートおよび FAQ や製品のアップデート情報を含むテクニカル情報を受けるには、https://premier.intel.com (英語) でインテル・プレミア・サポート・アカウントに登録してください。http://support.intel.com/support/performancetools/support.htm (英語) で [Registration Center] をクリックして登録します。

インテル C++ コンパイラのユーザ・フォーラム、FAQ、ヒント、およびその他のサポート情報は、http://support.intel.com/support/performancetools/c/linux/ (英語) を参照してください。サポート情報全般については、http://www.intel.com/software/products/support/ (英語) を参照してください。

問題の送信方法

問題を送信する手順は次のとおりです。

  1. https://premier.intel.com/ (英語) にアクセスします。
  2. ログイン名とパスワードを入力します。どちらも大文字と小文字が区別されます。
  3. [Submit] ボタンをクリックします。
  4. 「Confidentiality Statement (機密保護について)」を読み、[I Accept] ボタンを押します。
  5. [Product] ドロップダウン・リストの隣の [Go] ボタンをクリックします。
  6. 左側のナビゲーション・バーの [Submit Issue] リンクをクリックします。
  7. [Product Type] ドロップダウン・リストから [Development Environment (tools,SDV,EAP)] を選択します。
  8. ソフトウェアまたはライセンスに関する問題の場合は、[Product Name] ドロップダウン・リストから [Intel(R) C++ Compiler, Linux*] を選択します。
  9. 質問を入力します。ウィンドウの残りのフィールドも記入して、問題箇所の送信を完了します。

問題の報告および製品に関するご意見を送信される際のガイドライン

  1. 問題、その他ご意見を入力してください。
    問題の報告の場合は、その問題を再現できるように、できるだけ具体的に説明してください。コンパイラの問題報告の場合は、できるだけコンパイラ・オプションと簡単なテストコードを追加してください。
  2. システム構成情報を入力します。
    次のコマンドを使用して glibc とカーネルのバージョンを調べます。
        > uname -a
        > rpm -qa | grep glibc
    rpm をインストールしている場合は、下記のコマンドを実行します。
        > ls /lib/libc*
    プレミア・サポートの適切なフィールドに、表示された情報をコピーします。

    下記のコマンドで、インテル C++ コンパイラのパッケージ ID を取得します。
        > icc -V
    出力された [Package ID] (例:.l_cce_p[c]_8.1.xxx) をプレミア・サポートの適切なフィールドにコピーします。また、問題の解決に役立つと思われる事項はすべてお伝えください。

  3. コンパイラをインストールできない場合、またはパッケージ ID を取得できない場合は、ダウンロードしたファイル名をパッケージ ID として入力してください。

解決済みの問題

コンパイラの最新バージョンで修正された問題点については、インテル・プレミア・サポート (英語) からダウンロードできる <パッケージ ID>_README (例: l_cce_p[c]_8.1.xxx_README) を参照してください。

ドキュメント

ドキュメントの詳細は、IA-32 コンパイラのリリースノートを参照してください。

追加情報

関連製品とサービス

インテル・ソフトウェア開発製品の詳しい情報については、http://www.intel.co.jp/jp/developer/software/products/ を参照してください。

関連製品の一部を次にリストします。

著作権と商標について

本資料に掲載されている製品のうち、外国為替および外国為替管理法に定める戦略物資等または役務に該当するものについては、輸出または再輸出する場合、同法に基づく日本政府の輸出許可が必要です。また、米国産品である当社製品は日本からの輸出または再輸出に際し、原則として米国政府の事前許可が必要です。

【資料内容に関する注意事項】

本ドキュメントの内容を予告なしに変更することがあります。

インテルでは、この資料に掲載された内容について、市販製品に使用した場合の保証あるいは特別な目的に合うことの保証等は、いかなる場合についてもいたしかねます。また、このドキュメント内の誤りについても責任を負いかねる場合があります。

インテルでは、インテル製品の内部回路以外の使用にて責任を負いません。また、外部回路の特許についても関知いたしません。

本書の情報はインテル製品を使用できるようにする目的でのみ記載されています。

インテルは、製品について「取引条件」で提示されている場合を除き、インテル製品の販売や使用に関して、いかなる特許または著作権の侵害をも含み、あらゆる責任を負わないものとします。

本書に含まれている内容は、出荷時の内容を正確に著すよう記述されていますが、製品の不具合の発見とその改良に伴い、製品および本書の内容は予告なく変更される場合があります。現在報告されているソフトウェアの不具合につきましては、お問い合わせください。

いかなる形および方法によっても、インテルの文書による許可なく、この資料の一部またはすべてを複写することは禁じられています。

著作権法で許可されている場合を除き、文書による事前の許可なく、複製、改変、または翻訳することを禁じます。無断転載を禁じます。

版権制限:米国政府による使用、複製、または開示は、DFARS 252-227-7013 の条項「Rights in Technical Data and Computer Software」の副項 (c)(I)(ii) に規定されている制限を受けます。

非 DOD U.S. Government Departments and Agencies の権利は、FAR 52.227-19(c0(1,2) に規定されています。

* インテル(R) エクステンデッド・メモリ 64 テクノロジ (インテル(R) EM64T) を利用するには、インテル(R) EM64T に対応したプロセッサ、チップセット、BIOS、OS、デバイスドライバ、アプリケーションを搭載するコンピュータ・システムが必要です。インテル(R) EM64T に対応した BIOS がない場合、32 ビットでの動作も含め、プロセッサは動作しません。性能は、ご利用のハードウェアやソフトウェアによって異なります。インテル(R) EM64T に対応したプロセッサの情報等、詳細については http://www.intel.co.jp/jp/info/em64t/ を参照、もしくは各システムベンダにお問い合わせください。

Intel、インテル、Itanium、Pentium、および VTune は、アメリカ合衆国およびその他の国における Intel Corporation またはその子会社の商標または登録商標です。

* その他の名称およびブランド名は、各社の商標および登録商標です。

© 2004 Intel Corporation. 無断での引用、転載を禁じます。