数値式での括弧の使用

括弧を使うと,強制的に特定の順序で評価を行わせることができます。式の一部が括弧で囲まれていると,その部分が先に評価されます。結果として得られた値は,式の残りの部分の評価に使用されます。

以下の例では,演算子の下の番号は評価の順序を示しています。最初の 3 つの例では,括弧で囲まれていない同じ優先順位の演算子が複数含まれているので,いくつかの異なる評価順序が考えられます。このような場合,コンパイラは,代数的な左から右の評価順序で得られる結果と等しい結果が得られる限り,同じ優先順位の演算子を任意の順序で評価することができます。

	4 + 3 * 2 - 6/2   = 7
	  ^   ^   ^  ^
	  2   1   4  3

	(4 + 3) * 2 - 6/2   = 11
	   ^    ^   ^  ^
	   1    2   4  3

	(4 + 3 * 2 - 6)/2   = 2
	   ^   ^   ^   ^
	   2   1   3   4

	((4 + 3) * 2 - 6)/2   = 4
	    ^    ^   ^   ^
	    1    2   3   4

括弧中の式は,通常の優先順位に従って評価されます。入れ子にされた括弧を含んでいる式では,一番内側の括弧が最初に評価されます。

次の例のように,本質的でない括弧は,式の評価に影響を与えません。

	4 + (3*2) - (6/2)

しかし,高い精度が必要な数値計算では,一般に括弧を使って評価順序を宣言することが重要となります。このような計算では,個々の評価順序が代数的には等価であっても,コンピュータが処理したときの計算結果は (中間結果の丸めの方法が異なるために) 等しくならないことがあります。

引数並び中では,括弧を使って,特定の引数をメモリー項目のアドレスではなく式として扱わせることができます。