Fortran Windows アプリケーション (.EXE) は,Fortran Windows アプリケーション・プロジェクト・タイプを選択したときに作成される主プログラムです。このプロジェクト・タイプでは,Visual Fortran から Windows API を直接呼び出すことができます。Win32 API を自由に参照し,QuickWin よりも広範囲の (また異なる) 関数の組を利用することができます。
他のプロジェクト・タイプからも一部の Win32 API を呼び出すことができますが,Fortran Windows アプリケーションではすべての Win32 関数を使用することができ,他のプロジェクト・タイプでは使用できないシステム機能も使用できます。
DFWIN.F90 モジュールには,一般的な Win32 API のインタフェースが含まれています。プログラムに USE DFWIN 文を追加すれば,ほぼすべての Win32 ルーチンが使えるようになります。DFWIN.F90 モジュールを使うと,ウィンドウ管理,グラフィックス・デバイス・インタフェース,システム・サービス,マルチメディア,およびリモート手続呼び出しを含む幅広いルーチンが参照できます。
ウィンドウ管理は,ユーザー・インタフェースを作成し,管理する手段を提供します。プログラマは出力を表示したり,入力を求めるためのウィンドウを作成することができます。グラフィックス・デバイス・インタフェース (GDI) 関数は,ディスプレイ,プリンタ,およびその他の装置に対するグラフィックス出力を生成する手段を提供します。Win32 システム関数を使うと,メモリー,ファイル探査,ディレクトリ,および I/O 装置などの資源を管理し,モニタすることができます。システム・サービス関数は,エラー,イベントのログ収集,および例外処理といった特殊な状況を処理するための機能を提供します。
マルチメディア関数を使うと,アプリケーションはテキストとグラフィックスだけでなく,音楽,音響効果,およびビデオ・クリップを取り込んだドキュメントやプレゼンテーションを作成できます。マルチメディア関数はオーディオ,ビデオ,ファイル I/O,メディア制御,ジョイスティック,およびタイマーのためのサービスを提供します。
リモート手続呼び出し (RPC) は分散型コンピューティングの手段を提供します。これにより,アプリケーションはネットワーク上のコンピュータ資源を利用できるようになります。分散型アプリケーションは 1 つのアドレス空間中のプロセスとして動作し,別のコンピュータ上のアドレス空間中で実行される手続呼び出しを行います。RPC を使うと,ユーザーに対して情報を表示するクライアントと,データの格納,取得,および操作を行いコンピュータ作業を処理するサーバーから構成される分散型アプリケーションが作成できます。分散型アプリケーションの例としては,共有データベースや遠隔ファイル・サーバーなどがあります。
Fortran Windows アプリケーションの作成は,他の種類の Visual Fortran プロジェクトよりもはるかに複雑な作業です。Fortran Windows アプリケーションの作成方法についての詳細は,「Windows アプリケーションの作成」を参照してください。
Visual Fortran には,Windows API オンライン・ヘルプ「Platform SDK」が含まれています。また,Microsoft Developer Network からも情報が得られます。Microsoft Developer Network を購読すると,開発用ライブラリーと Windows プログラミングの技術情報を収録した季刊の CD を入手することができます。
Win32 ルーチンを呼び出す方法については,「Win32 ルーチンの呼び出し」を参照してください。