データの移植性

データを 8 ビット文字型データとして書式指定することで,データの移植性を最大限に高めることができます。文字型データのエンコードには,ASCII 標準などの標準的な文字集合を使用してください。この方法は 2 進数データを使った場合よりも効率が下がりますが,データをシャッフルし,変換する手間が省けます。

データ転送を,記録構造体を持つ媒体を通して行う場合,Fortran の (文字データとして) 順番書式付き形式を使用するのが一番です。直接書式付き形式を使用することもできますが,この場合にはデータの記録長を知る必要があります。また,一部のシステムは記録終了標識として復帰と改行の組を使用するのに対し,改行だけを使用するシステムもあることに注意してください。直接書式なし形式か順番書式なし形式を使用すると,データ中にシステム依存の値が埋め込まれ,移植の際に事態が複雑になる可能性があります。

厳密な可搬性を持つ解法を実装するためには,慎重な作業が必要です。また,可搬性を最大限に高めることが,解法の効率と機能を犠牲にすることを意味する場合もあります。可搬性が最優先事項でない場合には,後の節で説明するいくつかの技術を使って,解法をカスタマイズする作業を簡単にすることもできます。

ビッグ・エンディアンとリトル・エンディアンのデータと,書式なしデータの変換機能についての詳細は,「書式なし数値データの変換」を参照してください。