Fortran 実行時ライブラリーは,実行時の診断エラー報告のカスタマイズに使用できるいくつかの環境変数を検査します。
ファイル名が設定されていた場合,指定されたファイルに診断出力を書き出します。Fortran 実行時システムは,そのファイルを開き (追加出力),ファイルにエラー情報 (ASCII テキスト) を書き出そうと試みます。FOR_DIAGNOSTIC_LOG_FILE の設定は FOR_DISABLE_DIAGNOSTIC_DISPLAY からは独立しているので,画面上での情報の表示を無効にすると同時に,エラー情報をファイルに収集することができます。ファイル名として割り当てたテキスト文字列はそのままの形で使用されるので,完全な名前を指定する必要があります。ファイルを開くことに失敗すると,エラーは報告されず,実行時システムは診断処理を続行します。
真に設定されていると,すべてのエラー情報の表示を無効にします。これは,プログラムのエラー状態を検証したいだけで,Fortran 実行時システムにプログラムの異常終了に関する情報を表示させたくない場合に便利なことがあります。
真に設定されていると,表示される重大なエラー・メッセージのテキストの後のコール・スタック情報の表示を無効にします。Fortran の実行時エラー・メッセージは,FOR_DISABLE_STACK_TRACE が真に設定されているかどうかとは関係なく表示されます。
真に設定されていると,イベントが起こったときに,より詳しいコール・スタック情報が表示されます。
通常は,基本簡単な出力だけで,エラーが起こった場所を確定することができます。この簡単な出力には,20 個までのスタック・フレームが,スタック・フレーム 1 つにつき 1 行で含まれています。各フレームについて,PC を含んでいる実行形式ファイルの名前,PC,ルーチン名,行番号,およびソース・ファイルが表示されます。
詳細出力を選択すると,簡単な出力で表示される情報に加えて,エラーが機械語例外だった場合には例外文脈記録が表示され (マシン・レジスタ・ダンプ),個々のフレームについて返しアドレス,フレーム・ポインタとスタック・ポインタ,およびルーチンに対するパラメタ (存在する場合) が表示されます。この出力はかなり長くなることがあり (ただし 16K バイトに制限されます),出力を正確に記録したい場合には環境変数 FOR_DIAGNOSTIC_LOG_FILE を使うことが勧められます。ほとんどの状況では,詳細出力を使用する必要はないでしょう。
基本設定では,トレースバック出力はソース・ファイル・フィールドにファイル名と拡張子しか表示しません。パスを含む完全なファイル名情報を表示したい場合,環境変数 FOR_FULL_SRC_FILE_SPEC を真に設定します。