インテル® IPP 2017 デベロッパー・ガイド
インテル® IPP は、さまざまなプロセッサー向けに最適化された複数の関数実装を使用します。ディスパッチとは、プロセッサーを検出して、対応するインテル® IPP バイナリーパスを選択することです。例えば、/redist/intel64/ipp ディレクトリーの ippie9 ライブラリーには、第 2 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーなどのインテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション (インテル® AVX) 対応プロセッサー上で動作する 64 ビット・アプリケーション向けに最適化された画像処理ライブラリーが含まれています。
インテル® IPP 関数には、さまざまなアーキテクチャー向けのインテル® プロセッサーで実行するために最適化された多くのバージョンが用意されています。例えば、ippsCopy_8u() の場合、この関数の第 2 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー向けに最適化された 64 ビット・バージョンは e9_ippsCopy_8u()、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 4.2 (インテル® SSE4.2) 対応プロセッサー上で動作する 64 ビット・アプリケーション向けに最適化されたバージョンは y8_ippsCopy_8u() です。つまり、関数名のプリフィクスは特定のプロセッサー・モデルを指します。ただし、通常の操作ではディスパッチャーが最適なバージョンを判断します。汎用関数 (この場合は ippsCopy_8u) を呼び出すこともできます。
インテル® IPP は、さまざまなインテル® アーキテクチャーにおけるアプリケーション開発をサポートするように設計されています。根本的な関数の実装ではハードウェア世代ごとの利点を考慮する一方、API 定義はすべてのプロセッサーで共通です。
単一のクロスアーキテクチャー API が提供されているので、インテル® プロセッサー・ベースのデスクトップ、サーバー、モバイルなどのさまざまなプラットフォームで機能を移植することができます。1 つのプロセッサー・アーキテクチャー用に作成したコードをさまざまな世代のプロセッサーで使用可能です。
次の表は、インテル® IPP で使用されるプロセッサー固有のコードを示しています。
IA-32 インテル® アーキテクチャー | インテル® 64 アーキテクチャー | Windows® | Linux* | Android™ | OS X* | 説明 |
---|---|---|---|---|---|---|
px |
mx |
+ | + | インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 (インテル® SSE) 対応プロセッサー向けに最適化された汎用コード |
||
w7 |
my |
+ | + | インテル® SSE2 対応プロセッサー向けに最適化 |
||
s8 |
n8 |
+ | + | + | インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 3 補足命令 (インテル® SSSE3) 対応プロセッサー向けに最適化 |
|
m7 |
+ | + | + | + | インテル® SSE3 対応プロセッサー向けに最適化 |
|
p8 |
y8 |
+ | + | + | + | インテル® SSE4.2 対応プロセッサー向けに最適化 |
g9 |
e9 |
+ | + | + | + | インテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション (インテル® AVX) およびインテル® AES New Instructions (インテル® AES-NI) 対応プロセッサー向けに最適化 |
h9 |
l9 |
+ | + | + | + | インテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション 2 (インテル® AVX2) 対応プロセッサー向けに最適化 |
k0 |
+ | + | + | インテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション 512 (インテル® AVX-512) 対応プロセッサー向けに最適化 |
||
n0 |
+ | + | インテル® メニー・インテグレーテッド・コア (インテル® MIC) アーキテクチャーのインテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション 512 (インテル® AVX-512) 対応プロセッサー向けに最適化 |
最適化に関する注意事項 |
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インテル® コンパイラーでは、インテル® マイクロプロセッサーに限定されない最適化に関して、他社製マイクロプロセッサー用に同等の最適化を行えないことがあります。これには、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 2、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 3、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 3 補足命令などの最適化が該当します。インテルは、他社製マイクロプロセッサーに関して、いかなる最適化の利用、機能、または効果も保証いたしません。本製品のマイクロプロセッサー依存の最適化は、インテル® マイクロプロセッサーでの使用を前提としています。インテル® マイクロアーキテクチャーに限定されない最適化のなかにも、インテル® マイクロプロセッサー用のものがあります。この注意事項で言及した命令セットの詳細については、該当する製品のユーザー・リファレンス・ガイドを参照してください。 注意事項の改訂 #20110804 |