インテル® IPP 2019 デベロッパー・ガイド

ディスパッチ

インテル® IPP は、さまざまなプロセッサー向けに最適化された複数の関数実装を使用します。ディスパッチとは、プロセッサーを検出して、対応するインテル® IPP バイナリーパスを選択することです。例えば、/redist/intel64/ipp ディレクトリーの ippie9 ライブラリーには、第 2 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーなどのインテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション (インテル® AVX) 対応プロセッサー上で動作する 64 ビット・アプリケーション向けに最適化された画像処理ライブラリーが含まれています。

インテル® IPP 関数には、さまざまなアーキテクチャー向けのインテル® プロセッサーで実行するために最適化された多くのバージョンが用意されています。例えば、ippsCopy_8u() の場合、この関数の第 2 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー向けに最適化された 64 ビット・バージョンは e9_ippsCopy_8u()、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 4.2 (インテル® SSE4.2) 対応プロセッサー上で動作する 64 ビット・アプリケーション向けに最適化されたバージョンは y8_ippsCopy_8u() です。つまり、関数名のプリフィクスは特定のプロセッサー・モデルを指します。ただし、通常の操作ではディスパッチャーが最適なバージョンを判断します。汎用関数 (この場合は ippsCopy_8u) を呼び出すこともできます。

インテル® IPP は、さまざまなインテル® アーキテクチャーにおけるアプリケーション開発をサポートするように設計されています。根本的な関数の実装ではハードウェア世代ごとの利点を考慮する一方、API 定義はすべてのプロセッサーで共通です。

単一のクロスアーキテクチャー API が提供されているので、インテル® プロセッサー・ベースのデスクトップ、サーバー、モバイルなどのさまざまなプラットフォームで機能を移植することができます。1 つのプロセッサー・アーキテクチャー用に作成したコードをさまざまな世代のプロセッサーで使用可能です。

次の表は、インテル® IPP で使用されるプロセッサー固有のコードを示しています。

プロセッサー固有のライブラリーと関連付けられているコードの説明
IA-32 インテル® アーキテクチャー インテル® 64 アーキテクチャー Windows* Linux* Android* macOS*

説明

px*

mx*

+ +    

インテル® SSE 対応プロセッサー向けに最適化された汎用コード

w7

my

+ +    

インテル® SSE2 対応プロセッサー向けに最適化

s8

n8

+ + +  

インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 3 補足命令 (インテル® SSSE3) 対応プロセッサー向けに最適化

 

m7

+ + + +

インテル® SSE3 対応プロセッサー向けに最適化

p8

y8

+ + + +

インテル® SSE4.2 対応プロセッサー向けに最適化

g9

e9

+ + + +

インテル® AVX およびインテル® AES New Instructions (インテル® AES-NI) 対応プロセッサー向けに最適化

h9

l9

+ + + +

インテル® AVX2 対応プロセッサー向けに最適化

 

k0

+ +   +

インテル® AVX-512 対応プロセッサー向けに最適化

 

n0

+ +     インテル® メニー・インテグレーテッド・コア (インテル® MIC) アーキテクチャーのインテル® AVX-512 対応プロセッサー向けに最適化

* - px および mx 最適化のサポートは終了しました。バージョン 2018 で削除される予定です。

最適化に関する注意事項

インテル® コンパイラーでは、インテル® マイクロプロセッサーに限定されない最適化に関して、他社製マイクロプロセッサー用に同等の最適化を行えないことがあります。これには、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 2、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 3、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 3 補足命令などの最適化が該当します。インテルは、他社製マイクロプロセッサーに関して、いかなる最適化の利用、機能、または効果も保証いたしません。本製品のマイクロプロセッサー依存の最適化は、インテル® マイクロプロセッサーでの使用を前提としています。インテル® マイクロアーキテクチャーに限定されない最適化のなかにも、インテル® マイクロプロセッサー用のものがあります。この注意事項で言及した命令セットの詳細については、該当する製品のユーザー・リファレンス・ガイドを参照してください。

注意事項の改訂 #20110804