インテル® MKL 2018 デベロッパー・ガイド

インテル® Distribution for LINPACK Benchmark の概要

インテル® Distribution for LINPACK Benchmark は、テネシー大学ノックスビル校 (UTK) の Innovative Computing Laboratories (ICL) が提供しているハイパフォーマンス LINPACK (HPL) 2.1 (http://www.netlib.org/benchmark/hpl (英語)) をベースに変更、追加したものです。インテル® Distribution for LINPACK Benchmark は、TOP500 (http://www.top500.org (英語) を参照) の実行に使用することができます。ベンチマークを使用するには、HPL の使用法についてよく理解している必要があります。インテル® Distribution for LINPACK Benchmark は、HPL をより便利に使用できるように、そしてパフォーマンスを向上するインテル® メッセージ・パッシング・インターフェイス (MPI) 設定を使用できるように、拡張されています。

インテル® Distribution for LINPACK Benchmark は、real*8 精度のランダムで稠密な連立線形方程式 (Ax=b) を因数分解して解くためにかかった時間を測定し、時間をパフォーマンス比率に変換して結果の精度をテストします。ベンチマークは、正確な結果が得られるように、乱数生成と完全な行ピボット演算を使用します。

インテルでは、標準の HPL ベンチマークよりも簡単にインテル® プロセッサー・ベースのシステムで高い LINPACK ベンチマーク結果が得られる LINPACK ベンチマークの最適化バージョンを提供しています。事前ビルドバイナリーを使用するには、クラスターにインテル® MPI ライブラリーをインストールする必要があります。インテル® MPI ライブラリーのランタイムバージョン (無料) は、https://www.intel.com/software/products/ (英語) からダウンロードできます。

インテル® Distribution for LINPACK Benchmark の事前ビルドバイナリーは、MPI ランクがホストとコプロセッサー上に存在する、インテル® MPI ライブラリーのシンメトリック・モデルでは実行できません。詳細は、記事 (https://software.intel.com/en-us/articles/using-the-intel-mpi-library-on-intel-xeon-phi-coprocessor-systems (英語)) を参照してください。

このパッケージには、テネシー大学ノックスビル校の Innovative Computing Laboratories (ICL) で開発されたソフトウェアが含まれていますが、これはテネシー大学や ICL が本製品を推奨あるいは販促していることを意味するわけではありません。HPL 2.1 は特定の条件の下で再配布することができますが、このパッケージはインテル® MKL の使用許諾契約書に基づきます。

インテル® MKL は、インテル® MPI ライブラリーにスタティックまたはダイナミックにリンクされる事前ビルドバイナリーも提供しています。さらに、カスタム MPI 実装とリンクされたバイナリーは、インテル® MKL の MPI ラッパーを使用して生成できます。

スタティックにリンクされた事前ビルドバイナリーとダイナミックにリンクされた事前ビルドバイナリーのパフォーマンスは異なります。パフォーマンスは、使用するインテル® MPI のバージョンに依存します。インテル® MPI ライブラリーの特定のバージョン対して、スタティックまたはダイナミックにリンクしたバイナリーをビルドすることができます。

HPL コードはもともとホモジニアスです。つまり、各 MPI プロセスは、同様の CPU とメモリー制限の環境下で実行する必要があります。インテル® Distribution for LINPACK Benchmark はヘテロジニアスをサポートします。つまり、追加の作業に対応できる十分なメモリーがノードにある場合、各ノードのパフォーマンス要件に合わせてデータが配置されます。ノード間ヘテロジニアスを使用するためのインテル® MKL の構成方法については、「インテル® Distribution for LINPACK Benchmark のヘテロジニアス・サポート」を参照してください。

最適化に関する注意事項

インテル® コンパイラーでは、インテル® マイクロプロセッサーに限定されない最適化に関して、他社製マイクロプロセッサー用に同等の最適化を行えないことがあります。これには、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 2、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 3、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 3 補足命令などの最適化が該当します。インテルは、他社製マイクロプロセッサーに関して、いかなる最適化の利用、機能、または効果も保証いたしません。本製品のマイクロプロセッサー依存の最適化は、インテル® マイクロプロセッサーでの使用を前提としています。インテル® マイクロアーキテクチャーに限定されない最適化のなかにも、インテル® マイクロプロセッサー用のものがあります。この注意事項で言及した命令セットの詳細については、該当する製品のユーザー・リファレンス・ガイドを参照してください。

注意事項の改訂 #20110804