インテル® マス・カーネル・ライブラリー 9.0
Mac OS* 版入門ガイド
 

資料番号: 310706-003J

目次

概要
はじめに
    ディレクトリー構造の概要
    ディレクトリー構造の詳細
インテル MKL の構成
アプリケーションとインテル MKL のリンク
スレッド化
著作権と商標について

 

概要

本ガイドは、インストール後に実行する必要のある手順や簡単な使用例など、インテル® マス・カーネル・ライブラリー (インテル® MKL) Mac OS* 版の習得に役立つ情報を提供します。アプリケーションのライブラリーへのリンク方法、ライブラリーの構成方法、その他の基本的な手順について説明します。

本ガイドは、インテル MKL が既にマシンにインストールされていることを前提として説明しています。

製品をまだインストールしていない場合は、「インストール・ガイド」 (Install.txt ファイル) を参照してください。

 

はじめに

インテル MKL のインストール後、インストールとライブラリーの構成が適切に行われたかどうかを次の手順で確認すると良いでしょう。 

  1. 指定したインストール・ディレクトリーが作成されたか確認します。デフォルトは、/Library/Frameworks/Intel_MKL.framework/Versions/9.0 です。
  2. 複数のバージョンのインテル MKL をマシンにインストールしている場合は、ビルドスクリプトを更新して、使用するバージョンのインテル MKL を指定します。1 台のマシンに複数のバージョンのインテル MKL をインストールすることができますが、ベータ版はアンインストールしなければならない点に注意してください。
  3. mklvars32.sh ファイルが tools/environment ディレクトリーに配置されていることを確認します。
    これらのファイルを使用して、ユーザーシェルで環境変数 INCLUDE および DYLD_LIBRARY_PATH を設定することができます。

ディレクトリー構造の概要

インストール後のインテル MKL のディレクトリー構造を以下に示します。

mkl/9.0 メイン・ディレクトリー
mkl/9.0/doc ドキュメント・ディレクトリー
  mklEULA.txt インテル MKL ライセンス
  Doc_Index.html インテル MKL ドキュメント・インデックス
  fftw2xmkl_notes.htm FFTW 2.x インターフェイス・サポート・テクニカル・ユーザー・ノート
  fftw3xmkl_notes.htm FFTW 3.x インターフェイス・サポート・テクニカル・ユーザー・ノート
  fft2dfti.pdf インテル MKL FFT から DFTI ラッパー・テクニカル・ユーザー・ノート
  Getting_Started.html インテル MKL 入門ガイド (本ガイド)
  Install.txt インストール・ガイド
  mklman.pdf インテル MKL リファレンス・マニュアル
  mklman80_j.pdf インテル MKL リファレンス・マニュアル (日本語)
  mklqref/index.htm インテル MKL クイック・リファレンス
  mklsupport.txt サポート用のパッケージ ID 情報
  mkluse.html インテル MKL テクニカル・ユーザー・ノート
  Readme.txt 製品に関する基本情報
  redist.txt 再配布可能なファイルの一覧
  Release_Notes.htm リリースノート
  vmlnotes.htm VML の概要
  vslnotes.pdf VSL の概要
mkl/9.0/man/man3 インテル MKL BLAS、スパース BLAS、および LAPACK (補助なし) 関数の man ページ
mkl/9.0/examples ソースおよびデータ例
mkl/9.0/include ライブラリー・ルーチンの INCLUDE ファイル、テストの INCLUDE ファイル、プログラム例
mkl/9.0/interfaces/blas95 BLAS 用の f95 ラッパーとライブラリーのビルド用 makefile
mkl/9.0/interfaces/lapack95 LAPACK 用の f95 ラッパーとライブラリーのビルド用 makefile
mkl/9.0/interfaces/fftw2xc インテル MKL DFTI を呼び出す FFTW バージョン 2.x 用のラッパー (C インターフェイス)
mkl/9.0/interfaces/fftw2xf インテル MKL DFTI を呼び出す FFTW バージョン 2.x 用のラッパー (Fortran インターフェイス)
mkl/9.0/interfaces/fftw3xc インテル MKL DFTI を呼び出す FFTW バージョン 3.x 用のラッパー (C インターフェイス)
mkl/9.0/interfaces/fftw3xf インテル MKL DFTI を呼び出す FFTW バージョン 3.x 用のラッパー (Fortran インターフェイス)
mkl/9.0/interfaces/fftc インテル MKL DFTI を呼び出す FFT 用のラッパー (C インターフェイス)
mkl/9.0/interfaces/fftf インテル MKL DFTI を呼び出す FFT 用のラッパー (Fortran インターフェイス)
mkl/9.0/tests テストのソースおよびデータ
mkl/9.0/lib/32 IA-32 アプリケーション用スタティック・ライブラリーおよび共有オブジェクト
mkl/9.0/tools/builder 動的にリンク可能なカスタム・ライブラリーを作成するためのツール
mkl/9.0/tools/environment ユーザーシェルで環境変数を設定するシェルスクリプト
mkl/9.0/tools/support インテル® プレミアサポートへパッケージ ID とライセンスキー情報を報告するためのユーティリティー
mkl/9.0/tools/plugins/com.intel.mkl.help WebHelp 形式のインテル MKL リファレンス・マニュアルを含む Eclipse プラグイン。プラグインについては、Doc_Index.htm を参照。

 

ディレクトリー構造の詳細

インテル MKL Mac OS 版は、次の 2 つで構成されています。

また、スレッド化アプリケーションは次のように提供されます。

ライブラリーの詳細なディレクトリー構造を次に示します。

lib/32 32 ビット・アプリケーション用のすべてのライブラリー
libmkl_ia32.a 32 ビット・アプリケーション用に最適化されたカーネル (BLAS、CBLAS、スパース BLAS、GMP、FFT、DFT、VML、VSL、区間演算)
libmkl_lapack.a LAPACK ルーチンおよびドライバー
libguide.a スタティック・リンク用スレッディング・ライブラリー
libmkl.dylib プロセッサー固有のカーネルを動的にロードするためのライブラリー・ディスパッチャー
libmkl_lapack32.dylib 単精度データ型 LAPACK ルーチンおよびドライバー
libmkl_lapack64.dylib 倍精度データ型 LAPACK ルーチンおよびドライバー
libmkl_p4p.dylib ストリーミング SIMD 拡張命令 3 (SSE3) 対応インテル® Pentium® 4 プロセッサー用カーネル
libvml.dylib プロセッサー固有の VML カーネルを動的にロードするためのライブラリー・ディスパッチャー
libmkl_vml_p4p.dylib ストリーミング SIMD 拡張命令 3 (SSE3) 対応インテル Pentium 4 プロセッサー用 VML
libmkl_ias.dylib 区間演算ルーチン
libguide.dylib ダイナミック・リンク用スレッディング・ライブラリー

以下のインターフェイス・ライブラリーとモジュールは、interfaces フォルダーにある makefile を処理すると生成されます。

libmkl_blas95.a BLAS 用の Fortran-95 インターフェイス・ラッパー
libmkl_lapack95.a LAPACK 用の Fortran-95 インターフェイス・ラッパー
libfftw2xc_gnu.a インテル MKL DFTI を呼び出す FFTW バージョン 2.x 用のインターフェイス (GNU コンパイラー用 C インターフェイス)
libfftw2xc_intel.a インテル MKL DFTI を呼び出す FFTW バージョン 2.x 用のインターフェイス (インテル・コンパイラー用 C インターフェイス)
libfftw2xf_gnu.a インテル MKL DFTI を呼び出す FFTW バージョン 2.x 用のインターフェイス (GNU コンパイラー用 Fortran インターフェイス)
libfftw2xf_intel.a インテル MKL DFTI を呼び出す FFTW バージョン 2.x 用のインターフェイス (インテル・コンパイラー用 Fortran インターフェイス)
libfftw3xc_gnu.a インテル MKL DFTI を呼び出す FFTW バージョン 3.x 用のインターフェイス (GNU コンパイラー用 C インターフェイス)
libfftw3xc_intel.a インテル MKL DFTI を呼び出す FFTW バージョン 3.x 用のインターフェイス (インテル・コンパイラー用 Fortran インターフェイス)
libfftw3xf_gnu.a インテル MKL DFTI を呼び出す FFTW バージョン 3.x 用のインターフェイス (GNU コンパイラー用 Fortran インターフェイス)
libfftw3xf_intel.a インテル MKL DFTI を呼び出す FFTW バージョン 3.x 用のインターフェイス (インテル・コンパイラー用 Fortran インターフェイス)
mkl95_blas.mod BLAS 用の Fortran-95 インターフェイス・モジュール (BLAS95)
mkl95_lapack.mod LAPACK 用の Fortran-95 インターフェイス・モジュール (LAPACK95)
mkl95_precision.mod BLAS95 および LAPACK95 用精度パラメーターの Fortran-95 定義

 

インテル MKL の構成

インストール後、tools/environment ディレクトリーにある mklvars32.sh ファイルを使用して、ユーザーシェルで環境変数 INCLUDEDYLD_LIBRARY_PATH を設定できます。

 

アプリケーションとインテル MKL のリンク

インテル MKL のライブラリーへリンクするための一般的な形式を次に示します。

<リンクするファイル>
-L<MKL パス>
{[-lmkl_lapack] -lmkl_ia32, [-lmkl_lapack{32,64}] -lmkl, -lvml}
-lguide -lpthread

各ファイルには、次のものが含まれています。
libmkl_lapack.alibmkl_lapack32.dylib および libmkl_lapack64.dylib: LAPACK 関数。
libmkl_ia32.a: BLAS、DFT、VML、VSL、区間演算関数。
libmkl_lapack95.a libmkl_blas95.a: それぞれ LAPACK95 インターフェイスと BLAS95 インターフェイス。これらは、オリジナルのディストリビューションには含まれないため、インターフェイスを使用する前にビルドする必要があります (ライブラリーのビルドについての詳細は、次の「Fortran-95 インターフェイスおよび LAPACK と BLAS へのラッパーを使用する際の注意」を参照してください)。

すべての場合において、ランタイム時に適切なライブラリーがロードされます。インテル・コンパイラーを使用してリンクする場合の例をいくつか以下に示します。

ifort myprog.f -L$MKLPATH -lmkl_lapack -lmkl_ia32 -lguide -lpthread
        ユーザーコード myprog.f、LAPACK、カーネルのスタティック・リンク。
ifort myprog.f -L$MKLPATH -lmkl_lapack95 -lmkl_lapack -lmkl_ia32 -lguide -lpthread
        Fortran-95 LAPACK インターフェイスとカーネルのスタティック・リンク。
icc myprog.c -L$MKLPATH -lmkl_ia32 -lguide -lpthread -lm
        ユーザーコード myprog.c、BLAS、VML/VSL、区間演算、DFT のスタティック・リンク。
icc myprog.c -L$MKLPATH -lmkl -lguide -lpthread
        ユーザーコード myprog.c、BLAS またはインテル MKL の DFT のスタティック・リンク。

注意: libguide を静的にリンクする場合 (非推奨)

インテル MKL に動的にリンクする場合 (libguide.dylib) (推奨)、DYLD_LIBRARY_PATH が定義されていることを確認し、正確にこのバージョンの libguide が検出され、ランタイム時に使用されるようにしてください。

インテル MKL を使用したリンクおよびアプリケーションの実行に関する詳細は、「テクニカル・ユーザー・ノート」を参照してください。

リンク例は、インテル MKL サポート Web サイトよりご覧いただけます。 http://support.intel.com/support/jp/performancetools/index.htm

 

Fortran-95 インターフェイスおよび LAPACK と BLAS へのラッパーを使用する際の注意

Fortran-95 インターフェイスは、純粋なプロシージャーのために、ラッパーとともにソースとして提供されます。これらを使用する最も簡単な方法は、対応するライブラリーをビルドし、ユーザー・ライブラリーとしてリンクする方法です。この方法では、ユーザーは管理者権限を保持していることが前提です。製品ディレクトリーに書き込み権限があれば、手順は簡単です。mkl/9.0/interfaces/blas95 または mkl/9.0/interfaces/lapack95 に移動し、次のコマンドを入力します。

make lib

この結果、必要なライブラリーと .mod ファイルがビルドされ、リリースの標準カタログにインストールされます。.mod ファイルは、ifort -c mkl_lapack.f90 インターフェイスまたは ifort -c mkl_blas.f90 インターフェイスのファイルからも入手できます。ファイルは include ディレクトリーに保存されています。
管理者権限がない場合は、次の操作を行ってください。

  1. ディレクトリー全体 (mkl/9.0/interfaces/blas95 または mkl/9.0/interfaces/lapack95) をユーザー定義のディレクトリー <user_dir> にコピーします。
  2. 対応するファイル (mkl_blas.f90 または mkl_lapack.f90) を mkl/9.0/include からユーザー定義のディレクトリー <user_dir>/blas95 または <user_dir>/lapack95 にそれぞれコピーします。
  3. <user_dir>/blas95 または <user_dir>/lapack95 で環境変数を追加し、上記コマンドを実行します。例を以下に示します。
    make INTERFACE=mkl_blas.f90 lib.

これで、必要なライブラリーと .mod ファイルがビルドされ、それぞれ <user_dir>/blas95 ディレクトリーまたは <user_dir>/lapack95 ディレクトリーにインストールされます。

デフォルトでは、ifort コンパイラーが使用されると想定されています。make FC=<compiler> のパラメーターでこれを変更することができます。

上級ユーザーの場合は、ライブラリーをビルドしなくてもインターフェイスを使用することができます。

ビルド・ディレクトリーからライブラリーを削除するには、make clean コマンドを使用します。

 

スレッド化

インテル MKL は、多くの個所でスレッド化されています。また、OpenMP* ソフトウェアを使用しています。

OpenMP ソフトウェアは、使用するスレッド数を設定する OMP_NUM_THREADS 環境変数を基にスレッド化を実行します。スレッド数は、プログラムを実行するシェルで設定することができます。

変数 OMP_NUM_THREADS が設定されていない場合、インテル MKL ソフトウェアはスレッド数を 1 として実行します。OMP_NUM_THREADS は、常にアプリケーションで使用するプロセッサー数に設定しておくことを推奨します。

1D FFT における 2 の累乗データについては、インテル MKL はインテル® Itanium® プロセッサー用にのみ並列化を行うことに注意してください。

スレッド数を変更するには、プログラムを実行するコマンドライン・シェルで次のように入力します。

export OMP_NUM_THREADS=<使用するスレッド数>


インテル MKL のテクニカル情報に関する詳細は、「テクニカル・ユーザー・ノート 」 (mkluse.html) を参照してください。


著作権と商標について

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