オペレーティング・システムはプログラムを取り囲み,外部と内部の両方から影響を与えます。可搬性を実現するためには,プログラムが必要とするオペレーティング・システム特有の情報を最小限に抑える必要があります。Fortran 言語標準では,この種の情報は指定されていません。
オペレーティング・システム特有の情報は,言語に対する非組込み拡張,コンパイラとリンカーのオプション,そして Windows のグラフィカル・ユーザー・インタフェースで構成されます。入出力操作は,システム固有の装置を使用することがあり,システム固有の記録およびファイル構造を持つファイル・システムが関与することもあります。
オペレーティング・システムはリソース管理とエラー処理も行います。プログラマは,基本リソース管理とエラー処理メカニズムを利用することも,独自のメカニズムを提供することもできます。プログラムのシステム間での移植を支援する特殊なライブラリー・ルーチンについての詳細は,「可搬用ライブラリー」を参照してください。
オペレーティング・システムとの最小限の相互作用は入出力操作であり,通常は入力と出力のために接続されている標準的な装置を利用することになります。星印 (*) の装置指定子を使用することで,基本ファイル装置を使用することができます。
プログラムのオペレーティング・システム間での可搬性を高めるには,次の点に注意してください。
特定のファイル・システムが使用されることを仮定しないようにします。
プログラム本体にファイル名やパスを埋め込まないようにします。プログラムの先頭に定数として定義するか,入力データから読み取ります。
特定の標準 I/O 装置,またはその装置の「大きさ」(行と列の数) についての仮定を行わないようにします。
標準 I/O 装置の表示属性についての仮定を行わないようにします。環境によっては,色,下線の付いたテキスト,ブリンクするテキスト,強調表示されるテキスト,反転したテキスト,保護されたテキスト,またはグレー表示されたテキストといった属性をサポートしていないものがあります。