ダイナミック・リンク・ライブラリー (.DLL) は，それを使用するアプリケーションとは別個にコンパイル，リンクされるソース・コード・ライブラリーです。DLL は，呼び出し側のアプリケーションとコードおよびデータ・アドレス空間を共有します。DLL は主プログラムは持たず，副プログラムだけを含んでいます。
DLL は，スタティック・ライブラリーと同じようにコードの整理がしやすいという利点を持っていますが，さらに，インタフェースがいくぶん複雑になることと引き換えに，実行形式ファイルが小さくなるという利点もあります。DLL に含まれるオブジェクト・コードは，プログラムの実行形式ファイルには取り込まれず，プログラムの実行時に，必要に応じて動的に関連付けられます。同時に複数のプログラムが，1 つの DLL を参照することができます。
DLL 内の呼び出されたルーチンは，実行時に必要に応じてメモリーにロードされます。これは，複数のアプリケーションが，共通のルーチン群を使用する場合に非常に便利です。これらの共通ルーチンを DLL に格納しておくことで，DLL を呼び出す個々のアプリケーションの大きさを小さくすることができます。さらに，DLL を呼び出すアプリケーションを再ビルドせずに，DLL 内のルーチンを更新することができます。
Visual Fortran では，DLL を次の 2 つの方法で使用することができます。
独自のルーチンを含んだ DLL をビルドすることができます。ビジュアル開発環境では，プロジェクト・タイプとして Fortran Dynamic-Link Library を選択します。コマンド行では，DF コマンドの /DLL オプションを使用します。
「Project」メニューの「Settings」をクリックして，「Project Settings」ダイアログボックスを表示します。
「Fortran」タブをクリックします。
「Libraries」カテゴリを選択します。
「Use Fortran Run-Time Libraries」ボックスで「DLL」を選択します。
コマンド行で，別の DLL に格納されている実行時ライブラリーを使うアプリケーションをビルドするには，/libs:dll コンパイラ・オプションを使用します。
DLL についての詳細は，「Fortran DLL の作成」を参照してください。