Fortran QuickWin アプリケーション (.EXE) は,プロジェクトの実行中に複数のウィンドウを開くことができるので (通常は複数文書インタフェース,あるいは MDI と呼ばれます),Fortran Standard Graphics アプリケーション (QuickWin 単一文書) よりも柔軟性があります。たとえば,複数のグラフを描画し,これらの間で切り替えを行いながら,プログラムの実行を制御するウィンドウも同時に表示したいような場合に適しています。これらのウィンドウはフル・スクリーンで表示することもできますし,大きさを縮小して,画面のさまざまな場所に配置することもできます。
QuickWin ライブラリー・ルーチンを使うと,Visual Fortran で Windows インタフェースの単純化されたバージョンを使ったアプリケーションをビルドすることができます。QuickWin ライブラリーは豊富な Windows 機能を備えていますが,Windows Applications Programming Interface (API) 全体を含んでいるわけではありません。これ以上の機能が必要な場合,プログラムのビルドに QuickWin を使うのではなく,Win32 API を直接呼び出す Windows アプリケーションを作成する必要があります。QuickWin プログラミングについての詳細は,「QuickWin の使用」を参照してください。
Fortran QuickWin アプリケーション (.EXE) は,複数文書インタフェースを持ちます。複数文書インタフェース (MDI) を使用するアプリケーションは,ウィンドウ上部にメニューバーを,下部にステイタスバーを持っています。QuickWin ライブラリーは,QuickWin API によるカスタマイズが可能な基本メニューとメニュー項目の組を用意しています。MDI を使用するアプリケーションは,外側のアプリケーション・ウィンドウ中に複数の「子」ウィンドウを作成します。MDI アプリケーションのユーザー領域は,アプリケーション・ウィンドウのメニューバーとステイタスバー間の領域に表示される子ウィンドウです。アプリケーションは同時に複数の子ウィンドウを開くことができます。
また,Fortran QuickWin アプリケーションは,DFLOGM.F90 モジュールを使って,ダイアログボックスを制御するための関数を参照できます。これらの関数を使うと,アプリケーション中で特殊なダイアログボックスを表示し,初期化し,通信を行うことができます。これらは,Windows アプリケーションが直接に呼び出せる Win32 API 関数のサブセットです。ダイアログボックスの使用についての詳細は,「ダイアログの使用」を参照してください。
Fortran QuickWin アプリケーション・プロジェクト・タイプを選択すると,ビジュアル開発環境は QuickWin ライブラリーを自動的に追加します。これにより,グラフィックス関数が使えるようになります。QuickWin アプリケーションは,マルチスレッド・アプリケーションとして書かれなければなりません。(マルチスレッド・アプリケーションについての詳細は,「マルチスレッド・アプリケーションの作成」を参照してください。)
コマンド行からビルドを行うときには,/libs:qwin コンパイラ・オプションを指定して,これが Fortran QuickWin アプリケーションであることを指定しなくてはなりません。あるいは,/libs:qwins オプションを指定して,Fortran Standard Graphics アプリケーションであることを指定する方法もあります。このコンパイラ・オプションを使用する Fortran QuickWin アプリケーションは,メニューバーとステイタスバーを持たない Fortran Standard Graphics アプリケーションに似ています。実際,Fortran Standard Graphics アプリケーションは,いくつかのオプションが事前に定義された Fortran QuickWin アプリケーションに他ならず,ユーザーが便利なようにプログラム・タイプ一覧に別に記載されています。Fortran Standard Graphics アプリケーションと同様に,アプリケーションは,選択された解像度が画面の大きさと一致すれば画面全体を覆い,そうでなければスクロールバーを持つ大きさの変更が可能なウィンドウとして表示されます。
Fortran Standard Graphics アプリケーションの場合,アプリケーションは選択した解像度が画面の大きさに一致する場合に全画面に表示され,そうでなければ,スクロールバーを持つ大きさが変更可能なウィンドウとして表示されます。
Fortran QuickWin アプリケーションを DLL にすることはできません。
複数のウィンドウを開いて制御する方法を含めて,QuickWin 関数の使用方法についての詳細は,「QuickWin の使用」を参照してください。