この章では，QuickWin ライブラリー・ルーチンの主要なカテゴリを紹介します。QuickWin の機能と，グラフィックスの作成と表示方法，そして QuickWin アプリケーションのメニューおよびマウス・ルーチンを使ったカスタマイズ方法の概要を示します。「グラフィックス要素の描画」と「グラフィックス・ライブラリーからのフォントの使用」では，グラフィックスとフォントをより詳しく扱っています。
Visual Fortran QuickWin 実行時ライブラリーは，グラフィックス・プログラムを単純な Windows アプリケーションに変換する手助けをします。QuickWin では，Windows のすべての機能を利用することはできません。QuickWin は，通常の Windows 機能よりも学びやすく，使いやすくなっています。QuickWin アプリケーションはピクセルを基本としたグラフィックス，実座標のグラフィックス，テキスト・ウィンドウ，文字フォント，ユーザー定義のメニュー，マウス・イベント，およびテキスト，グラフィックス，またはその両方の編集 (選択，コピー，貼り付け) をサポートしています。
Visual Fortran のグラフィックス・プログラムは，Fortran QuickWin，Fortran Standard Graphics，Fortran Windows のいずれかか，OpenGL ルーチンを使用するプログラムでなくてはなりません。Fortran Standard Graphics アプリケーションは，ウィンドウを 1 つしかサポートしない QuickWin のサブセットです。
Fortran QuickWin または Standard Graphics アプリケーションを作成するには，ビジュアル開発環境で新しいプロジェクトを作成する場合，使用可能なプロジェクト・タイプのドロップダウンリストから，「Fortran Standard Graphics or QuickWin Application」を選択します。コマンド行でコンパイル，リンクする場合，Fortran QuickWin では /libs:qwin コンパイラ・オプションを，Fortran Standard Graphics では /libs:qwins コンパイラ・オプションを使用します。
Fortran QuickWin と Fortran Standard Graphics アプリケーションを DLL にはできないこと，また Fortran QuickWin と Fortran Standard Graphics は，DLL に含まれている実行時ルーチンとはリンクできないことに注意してください。つまり，/libs:qwin，/libs:qwins オプションと，/libs:dll および /threads オプションを同時に指定することはできません。
QuickWin ルーチン・ライブラリーには，Visual Fortran から，また Fortran の呼び出し規約をサポートしている他の言語から参照することができます。グラフィックス・パッケージは，Windows NT, Windows XP，Windows 2000, Windows ME, Windows 98，および Windows 95 がサポートしているすべてのビデオ・モードをサポートしています。
QuickWin ルーチンを使用するプログラムは，USE DFLIB 文を使って，QuickWin グラフィックス・ライブラリー・ルーチンに明示的に参照する必要があります (「Fortran QuickWin アプリケーションに必要な USE 文」を参照)。
この章には次のトピックがあります。