このバージョンの Visual Fortran でビルドしたプログラムは,Microsoft Windows XP, Windows 2000,Windows NT,Windows Me,または Windows 9x オペレーティング・システムを実行しているコンピュータでしか実行できません (Windows NT のバージョンについてはリリース・ノートを参照)。プログラムは,コマンド・プロンプト,エクスプローラ (「スタート」→「プログラム」から選択),および Microsoft ビジュアル開発環境から実行できます。
各プログラムは,自分用のアドレス空間と環境変数を持つ保護されたユーザー・アプリケーションとして扱われます。このため,プログラムが,コンピュータで同時に実行されている他のプログラムのアドレス空間を誤って損傷することはありません。
現在のユーザーのために定義されている環境変数は,コマンド・プロンプトを開いたときに Windows が設定する環境の一部です。コマンド・プロンプト中で変数を変更したり,他の変数を設定することができますが,これらの変数は実行中のコマンド・プロンプト中でのみ有効となります。
プログラムをコマンド・プロンプトから実行した場合,オペレーティング・システムは PATH ユーザー環境変数に指定されているディレクトリを検索して,要求された実行形式ファイルを探します。また,.EXE ファイルの完全なパスを指定して,プログラムを実行することも可能です。DLL も使用する場合,その DLL は .EXE ファイルと同じディレクトリか,パスに指定されたディレクトリに含まれていなくてはなりません。
プログラムの実行中に発生する大部分の問題から簡単に復旧することができます。
プログラムがマルチスレッド化されている場合,Windows NT, Windows 2000 および Windows XP は,各スレッドをその時点で使用可能なプロセッサーで起動します。プロセッサーが 1 つしかないコンピュータでは,すべてのスレッドが並列に実行されますが,同時には実行されません。1 つのプロセッサーが,これらのスレッドを切り替えて実行します。複数のプロセッサーを搭載しているコンピュータでは,スレッドを同時に実行することができます。
/fpscomp:filesfromcmd オプションを指定した場合 (「Project Settings」の「Fortran」タブの「Compatibility」カテゴリ),プログラムを実行するコマンド行には,プログラム中のファイル名欄が空になっている OPEN 文を完成させるための追加ファイル名を指定することができます。コマンド行上の最初のファイル名は,実行される最初の OPEN 文に,第 2 ファイル名は第 2 OPEN 文に使用されます (以下同様)。ビジュアル開発環境では,これらのファイル名を「Project」メニューの「Settings」を選択して表示される「Project Settings」ダイアログボックスの「Debug」タブにある「Program Arguments」テキストボックスで指定できます。
コマンド行の (またはビジュアル開発環境のダイアログボックスの) 各ファイル名は,1 つまたは複数の空白かタブ文字によって前後の名前と区切られていなくてはなりません。個々の名前は引用符 ("filename") で囲むことができますが,引数が空白またはタブを含んでいない限り必須ではありません。空引数は,ファイル名を含まない空の引用符の組 ("") で構成されます。
次のコマンドは,コマンド・プロンプトからプログラム MYPROG.EXE を実行します。
MYPROG "" OUTPUT.DAT
第 1 ファイル名引数が空なので,空ファイル名欄を持つ最初の OPEN 文は,次のメッセージを出力します。
File name missing or blank - please enter file name<R> UNIT number ?
number は OPEN 文で指定された装置番号です。ファイル名 OUTPUT.DAT は,2 番目に実行される OPEN 文に使用されます。空ファイル名欄を持つ OPEN 文がさらに実行された場合,ユーザーに対してファイル名を入力するように求めるプロンプトが表示されます。QuickWin ライブラリーを使ってビルドされたプログラムは,既存のファイルを参照したり,新しく作成するファイル名を入力することができるダイアログボックスを表示して,ファイルを指定するように求めます。
/fpscomp:filesfromcmd オプションを使用する代わりに,以下のようにすることもできます。
指定したコマンド行引数を返すための GETARG ライブラリー・ルーチンを呼び出します。ビジュアル開発環境の中でプログラムを実行するには,「Project」メニューの「Settings」を選択して表示される「Project Settings」ダイアログボックスの「Debug」タブにある「Program Arguments」テキストボックスに,プログラムに渡すコマンド行引数を指定します。
ダイアログボックスを使ってファイル名の入力を要求するための GetOpenFileName Win32 ルーチン を呼び出します。GetOpenFileName の呼び出し方の例に関しては,...Df98\Samples\Advanced\Win32\GetOpenFileName にある Visual Fortran サンプルの GetOpenFileName を参照してください。
ビジュアル開発環境のデバッガーを使用しており,実行形式ファイルが置かれている場所とは異なる作業用ディレクトリを指定する必要がある場合,「Project」メニューの「Settings」を選択して表示される「Project Settings」ダイアログボックスの「Debug」タブにある「Working Directory」テキストボックスでディレクトリを指定します。
実行時のエラー・メッセージは,ビルドしたアプリケーション・タイプに応じて,コマンド・プロンプトかダイアログボックスに表示されます (詳細は,「実行時メッセージの表示と書式」を参照してください)。これらのメッセージをファイルに保存したい場合は,stderr をファイルにリダイレクトすることができます。たとえば,BUGGY.EXE という名前のプログラムからの実行時エラー・メッセージを,BUGLIST.TXT という名前のファイルにリダイレクトするには,次の構文を使用します。
BUGGY.EXE > BUGLIST.TXT
構文のリダイレクト部分は,コマンド行の最後になくてはなりません。「より大きい」の記号 (>) を 1 つではなく 2 つ (>>) 指定すると,出力を既存のファイルに追加することができます。そのファイルが存在しなければ,新しいファイルが作成されます。コマンド行のリダイレクトについての詳細は,「コマンド行出力のファイルへのリダイレクト」を参照してください。
他の Windows システムで自分のアプリケーションを実行 (展開) する場合,必要な実行時 DLL と関連ファイルをインストールするために VFRUN ツールを使用します。VFRUN ツールは,自動インストール・キットの形式で Visual Fortran アプリケーション用の再配布可能な実行時ファイルを提供します。Visual Fortran ウェッブ・ページ (「ダウンロード」リンクをクリック) から VFRUN ツールをダウンロードすることができます。VFRUN ツールと Visual Fortran アプリケーションの展開についての詳細は,『Compaq Visual Fortran Installing and Getting Started』を参照してください。
関連情報
Fortran プログラムでデバッガーを使用する方法については,「Fortran プログラムのデバッグ」を参照してください。
デバッガーでエラーの場所を特定する方法については,「デバッガーで実行時エラーの場所を特定する方法」を参照してください。
例外の原因の場所を特定する方法については,「実行時エラーの場所を特定する方法」と「トレースバック情報の使用」を参照してください。
実行時のエラーを処理できるようにソースを変更する方法については,「エラーの処理方法」を参照してください。
実行時に認識される環境変数については,「実行時の環境変数」を参照してください。
個々の Visual Fortran 実行時メッセージについては,「Visual Fortran 実行時エラー」を参照してください。