プロジェクトを作成するときには,プロジェクト・タイプを選択する必要があります。プロジェクトは,作成しようとしている個々の実行形式ファイルについて作成しなくてはなりません。たとえば,主プログラムの Fortran プログラムと Fortran ダイナミック・リンク・ライブラリー (DLL) は,同じワークスペース中で,それぞれ別のプロジェクトとして存在することになります。
プロジェクト・タイプは何を生成するかを指定し,ビジュアル開発環境がプロジェクトに対して基本として設定するオプションのいくつかを決定します。たとえば,コンパイラがソース・ファイルをコンパイルするために使用するオプション,リンカーがプロジェクトをビルドするために使用するスタティック・ライブラリー,出力ファイルの基本場所,既定の定数値などです。
Visual Fortran でビルドできる 7 つの種類のプロジェクトを示します。プロジェクト・タイプは新しいプロジェクトを作成するときに指定します。以下にプロジェクト・タイプのまとめを示します。
プロジェクト・タイプ | 主な特徴 |
Fortran Console アプリケーション (.EXE) | グラフィックスなしの単一ウィンドウの主プロジェクト (キャラクタ・セル端末用アプリケーションに似ています)。プログラミングに関する特別な経験は必要ありません。Fortran Console アプリケーションの Visual Fortran サンプルについては,\MY PROJECTS\CELSIUS を参照してください。『Compaq Visual Fortran Installing and Getting Started』の「Chapter 6 Using Visual Fortran」を参照してください。 |
Fortran Standard Graphics アプリケーション (.EXE) | グラフィックス付きの単一ウィンドウの主プロジェクト。プログラミングは,使用するグラフィックスとユーザーとの会話の性質に応じて,初級から中級程度の複雑さとなります。Standard Graphics アプリケーション (QuickWin 単一ウィンドウ) のサンプルは,QuickWin アプリケーションのサンプルに似ています (下を参照)。 |
Fortran QuickWin アプリケーション (.EXE) | グラフィックス付きの複数ウィンドウの主プロジェクト。プログラミングは,使用されるグラフィックスとユーザーとの会話の性質に応じて,初級から中級程度の複雑さとなります。QuickWin アプリケーション (QuickWin 複数ウィンドウ) のサンプルとしては,...\DF98\SAMPLES\QUICKWIN に QWPIANO と QWPAINT などがあります。 |
Fortran Windows アプリケーション (.EXE) | 高度なグラフィカル・インタフェースと Win32 API 関数を使用する,複数ウィンドウの主プロジェクト。高度なプログラミングの専門知識と,Win32 ルーチンに関する知識が必要です。Wi32 アプリケーションのサンプルとしては,...\DF98\SAMPLES\ADVANCED\WIN32 に PLATFORM と POLYDRAW などがあります。 |
Fortran COM Server (.DLL) | COM サーバーを実装するために Component Object Model (COM) を使用します。COM は,オブジェクト,クライアントのユーザーとオブジェクト,サーバーの実装者間のクライアント/サーバーの対話をサポートします。クライアントは,Fortran Module Wizard を使った Visual Fortran,Visual C++ や Visual Basic などのその他の言語で書かれます。COM に関する専門的な知識が要求されます。Fortran COM サーバー (および COM クライアント) アプリケーションのサンプルは,...\DF98\SAMPLES\ADVANCED\COM の Adder などをがあります。 |
Fortran Static Library (.LIB) | .EXE ファイルにリンクされるライブラリー・ルーチン。 |
Fortran Dynamic-Link Library (.DLL) | 実行時に結合されるライブラリー・ルーチン。 |
上記の最初の 4 プロジェクトは,主プログラムを必要とする主プロジェクト・タイプです。最後の 2 つは,主プログラムを持たないライブラリー・プロジェクトです。プロジェクト・タイプについては,次の節で詳しく扱っています。
既存のアプリケーションを移植するときに,どのプロジェクト・タイプを選べば移植に必要な作業を最小限に抑えられるかは,そのアプリケーションが何を行うかによります。グラフィックスをまったく使わないキャラクタ・セル端末用アプリケーション (UNIX システムから移植されるプログラムなど) は,通常は Fortran Console アプリケーションに移植することができます。既存の Windows 3.1 (またはそれ以前) 用のアプリケーションがグラフィックスを使用している場合,Fortran Standard Graphics アプリケーションか Fortran QuickWin アプリケーションのプロジェクト・タイプを試してみてください。ただし,これらの既存のグラフィックス・アプリケーションでは次の点に注意する必要があります。
以前のグラフィックス QuickWin ルーチンのルーチン名を,現在のルーチン名に (また,現在の引数並びを使うように) 変換しなければならないことがあります。たとえば,以下の表は,既知の廃止ルーチンとそれらに代わるサポートしているルーチンの一覧を示しています。
廃止 QuickWin ルーチン | 代替ルーチン |
---|---|
SETGTEXTVECTOR | SETGTEXTROTATION |
GETGTEXTVECTOR | GETGTEXTROTATION |
GETHANDLEQQ | GETHWNDQQ |
WGGETACTIVE | GETACTIVEQQ |
WGSETACTIVE | SETACTIVEQQ |
INITIALMENU | INITIALSETTINGS |
SETTEXTROWS | SETWINDOWCONFIG |
ユーザーと文字列を基本とした会話を行っているアプリケーションは,メニュー,マウス・クリック,およびダイアログボックスを使う現代的なインタフェースに変更することができます。ルーチンが PEEKCHARQQ ルーチンを使用している場合,Visual Fortran サンプルの ...\DF98\SAMPLES\QuickWin フォルダにある PEEKAPP または PEEKAPP3 を参照してください。
プロジェクト・タイプを選択したら,プロジェクトを定義する必要があります (「プロジェクトの定義」を参照してください)。
プロジェクトのビルドにコマンド行を使用する必要がある場合,次の選択肢があります。
最初のうちはビジュアル開発環境を使用し,後にメイクファイルを作成する (「プロジェクト・メイクファイル」を参照)。
DF コマンドのコンパイラ・オプションを使ってプロジェクト・タイプを指定する (「DF コマンド・オプションによるプロジェクト・タイプの指定」を参照)。
DF コマンド行からアプリケーションを作成する (「コマンド行からのコンパイラとリンカーの使用」を参照)。